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「ふたば系ゆっくりいじめ 100 ゆっくり自由空館/コメントログ」 誰も感想書いてないな(笑) -- 2013-08-25 00 11 25 ↓むきゅー、きっとこんらんしてるのよ!ぱちぇが言うならまちがいないわ! -- 2014-02-08 01 48 27 WHY? -- 2016-09-28 16 42 48 1つ、繁殖能力だけは高いゆっくりが根こそぎ消えるか? 1つ、駆除対象の繁殖を許可するバカが何処にいる? 1つ、生物(ナマモノ)で、生き物のようで、消耗品であるゆっくりを 管理(供給、飼育、保管、廃棄)することにどれだけの金が掛かるか? ・・・設定が「甘い」よ。 -- 2018-01-24 22 53 24
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ゲス登場 元ネタあり 子ゆっくりを引き連れ人里までやってきたゆっくりれいむ。 人目も憚ることなく、大きな声で子ゆっくりへ言い付けている。 「おちびちゃん、ままのいったことはおぼえているよね?」 「うん!はたけのおやしゃいしゃんをたべちゃだめらよ!」 「にんげんしゃんのおうちにはいっちゃいけまちぇん!」 「にんげんしゃんにおねだりするのもいけにゃいよ!」 このゆっくり達の所属する群れにはドスまりさが居り、里の人間達と上手くやって行く為に、色々な約束事が取り決められていた。 そのうちの一つが野菜を盗み食いするゆっくりは潰されても文句は言えないというものだ。 しっかりとそのことを子ゆっくりに教えておけば、人間の里は安全な餌場だった。 又、人の良い者が余り物を恵んでやったりする事もあるので、それが目当てであるという面もあったが。 なにはともあれ、人里へやってくるゆっくりはそれほど珍しい存在ではなかった。 「ゆっくりよくできました!それじゃあ、じゆうにゆっくりしてもいいよ!」 人間の里は初めてではなかったので、子供達には自由に行動させることにしたようだ。 子供たちは言いつけをしっかりと胸に留めておきながら、思い思いに草花や虫を口にしていった。 そんな時、一匹の子ゆっくりが好奇心から畑に近付いたときだった。 「このおはなしゃんをみちぇよ!とってみょゆっきゅりしちぇいるよ!」 畑の側に生えていた、数本の花々をとてもゆっくり出来ると評し、他のゆっくりを呼び寄せたのだ。 「こりぇはたべちゃいけにゃいおはなしゃんじゃにゃいよね?」 「ゆっきゅりいたたきまちゅをしようにぇ!」 「「「ゆっきゅりいただきましゅ!!!」」」 子ゆっくり達は奇麗な花に心奪われ、その食欲を満たさんと花にかぶりつきだした。 「むーちゃむーちゃ、ちあわせー♪」 「こりぇはとってもゆっくりしちぇるね♪」 むーしゃむーしゃと舌鼓を打っていたが、その花の生えていた場所がいけなかった。 「このくそ饅頭がぁ!なにしてやがる!」 遠方から鋤を持った農夫と思われる一人の男が砂煙を巻き上げながら、子ゆっくりの元へやってきたのだ。 「にゅううううううう!?」 すさまじい剣幕でやってきた人間に気圧されたのか、逃げる事も、弁明する事も出来ない子ゆっくりはその場に立ち竦んでしまった。 「おらっ!」 「にゅべっ!?」 男の持っていた鋤が振り下ろされると、一匹の子ゆっくりの命を奪った。 「にゅわあああああ!?いもうちょがああああ!?」 「にゃんでこんにゃひどいこちょするにょおおお!?」 何も悪い事をしていないと思っている子ゆっくり達は、目の前の惨劇に恐怖しつつも抗議している。 「うるせえ!あの世でしっかり悔い改めろ!」 「にゅぎょ!」 「ゆぴゃあああ!?」 言いながら振りかぶった右手は再び大地へ向かって振り下ろされ、また一つ子ゆっくりの命を奪った。 「みょうやだぁ!おうちきゃえる!」 姉妹二匹が無残にも潰されることで、やっと逃げ出す決断が出来た子ゆっくり。 しかし子ゆっくりの足では人間に叶うはずも無く、あっという間に射程県内に捉えられた。 「逃がすかぁ!」 最後の一仕事を終えんと鋤を振り上げながら子ゆっくりヘと向かって行ったその刹那。 「ゆっくりやめて!」 草陰から一匹のゆっくりが飛び出し、男の太ももへ体当たりをかましたのだ。 不意を疲れた一撃に男は体制を崩し、尻餅をついてしまった。 「おちびちゃんはおうちにもどってね!」 親れいむは子供にそう促すと、男が起き上がるのをじっと待っていた。 人間の怖さを知っているからこそ、その身を張ってでも我が子を、群れを守ろうとしたのである。 「いってぇ…てめえがあの糞玉の親か!」 「どうしておちびちゃんをいじめたのおお!?」 「俺の畑の野菜を食ってたんだ!殺して文句を言われる筋合いはねえよ!」 「れいむはおちびちゃんにそんなことさせないよ!」 「それじゃあ俺の畑でむーしゃむーしゃしてたのはどういう事だ!?」 「それは…なにかのまちがいだよ!ゆっくりしんじてね!」 「それじゃあこの野菜は…あれ…なんとも…ねえな…」 「だからいったでしょおおお!?」 「…そもそもだな!おまえのチビどもがこんな所でむーしゃむーしゃしているのがいけなかったんだよ!」 「ゆっ、ゆわああああぁぁん!れいむのおちびちゃんがあああああ!?」 「ああぁ、くそっ!どうしてこう面倒くさいことに…」 自分のしでかした失態に、居た堪れなくなった男は泣き喚くれいむをそのままに、里の長の元へと歩いていった。 一方命からがら逃げ出した子れいむは、無事に群れまで辿り着き、ドスまりさへ事の次第を報告していた。 「おはなしゃんをたべてちゃら…にんげんさんが…おきゃあしゃん…いみょうちょが…ゆわああああん!」 「ゆうう…もしかしておやさいをたべちゃったの?」 「れいみゅはそんなこちょしないもん!おやさいはたべちゃだめだって、しっちぇるよ!」 「ゆう、これはにんげんさんにもはなしをきかないといけないね!」 子ゆっくりの話だけでは埒が明かないと、直接もう一人の当事者へ話を聞くために人里へと降りていった。 ドスが数匹のゆっくりを引き連れながら里へ向かうと、広場では長を含めた数人が集まっていた。 「おお、やはり来たか」 「おちびちゃんをゆっくりさせなかったのはだれ?」 ドスまりさは、その体を膨らませ、大きい体を見せて威圧する。 仲間を引き連れていることもあってか、ずいぶん強気な態度で臨んでいる。 「まあまあ、そう怒りなさんな。こっちの言い分も聞いてくれ」 「…ゆっくりきくよ」 訝しげな表情をしながらその身を縮める。 「つまり、おちびちゃんがおやさいさんのそばで、おはなさんをむーしゃむーしゃしていたから、かんちがいしちゃったのね?」 「そうだよ!おちびちゃんはわるいことしてないんだよ!わるいのはにんげんさんだよ!」 殺された子ゆっくりの母れいむも、人間が非を認めてくれた事に少し安堵したが、それでも子を失った悲しみは拭えなかった。 「…侘びと言っては何だが、野菜をあげるからここは一つ、丸く治めてくれないか?」 長が合図をすると、里の者が引いてきた大八車には幾ばくかの野菜が積まれていた。 どすまりさは少し考えた後、 「ゆっくりわかったよ、おやさいさんはもらっていくね!」 笑顔で帽子に野菜を詰め込み、そそくさと森へと帰っていってしまった。 「おちびちゃんは…おちびちゃんは…」 ドスが去った里では、長と村の男集で話し合いが行われた。 「おまえも早とちりな行動は慎んでくれたまえ」 「でもよお…暫くおっかあの面倒見なくちゃいけなくてよ…畑に出るのも久しぶりだったもんで…」 「分かっている、だからこそ、少し考えた行動をして欲しいんだ」 「…すいません。それに、皆も、迷惑かけちまって…」 「気にすんな、困った時はお互い様って奴だ」 群れに帰るゆっくりの一団は、野菜を貰えた事に喜びを隠せなかった。 正に棚から牡丹餅である。 「ゆゆ~ん♪おやさいさんいっぱいもらえてよかったね!」 「…おやさいさんはもらえても、おちびちゃんはかえってこないんだよぉ!?」 そんな一匹のゆっくりの発した軽率な言葉に、怒りを露にする親れいむ。 母性が強いと言われるれいむ種らしく、未だに亡くなった子ゆっくりのことが頭から離れないのだろう。 そんなれいむを横目で見ていたドスだったが、突然とんでもない事を言い出した。 「それじゃあ、おちびちゃんもかえしてもらおうか?」 「ゆううう!?どういうことぉ!?」 「ほんとう!?おちびちゃんがかえってくるの?」 「れいむはおちびちゃんをうしなって、とってもつらいんだよ!だからおちびちゃんもちゃんとかえしてね!」 翌日、ドスまりさが再び人里へとその姿を現した。 しかも死んだ子ゆっくりを生き返らせろという、とんでもない要求を突きつけに。 「流石にそれは…生き返るものならそうしたいんだが…」 「いいわけはききたくないよ!おちびちゃんをかえしてあげてね!」 ドス自身も死んだ者が生き返るとは思っていない。 相手の落ち度に付け込んで、もっと野菜をもらおうと考えたのだろう。 突如起こった事故ではあったが、それを上手く利用できればたっぷりとゆっくり出来る。 まさしくゲスそのものの、いやらしい頭の回りを発揮したドスであった。 「とりあえず今日のところは帰ってくれないか?こっちも色々準備が必要だからな」 長は里の者に野菜を差し出すようにと言い、里の者も苦々しく思いながらも僅かばかりの野菜を持ってきたのであった。 「明日、こちらから出向くので、お前の群れでゆっくりと待っていてくれ」 ドスまりさは積まれた野菜を目にし、しょうがないなという顔を作りつつ野菜をその頬に収めていった。 「ちゃんとおちびちゃんをかえしてよね!」 去り際まで野菜のことを口にしないでドスは去って行った。 里に背を向けたドスの表情は、芝居が上手く行ったと思ってにやついた表情をしていた。 ドスが去った里では男衆が皆、肩を落としていた。 「生き返らせるって…そんな無茶な」 「すんません、長…俺が…俺があんなことをしちまったから…」 「…さあ、竹薮に行くぞ」 「長?もうたけのこの旬は過ぎちまって…」 「誰もたけのこを採りに行くとは言ってないぞ?」 ゆっくりはその名の通り、ゆっくりとしているので朝は遅い。 未だ日が差さず、薄暗い森の中は鬱蒼としている。 木の洞や洞窟に巣を構えるゆっくりだが、その中でもひときわ大きい洞窟、そこにドスまりさが寝ていた。 「ゆぴぃ~♪おやしゃいさん、もうたべられないよう…♪」 夢の中で山盛りの野菜を食べているのだろう、その寝顔はしあわせ満面だった。 しかし、そんなゆっくりとした時間ももうすぐ終わりを迎えることになる。 森の中を人影が、木から木へとその身を隠すように動いている。 その人影が目指す先はゆっくりの群れの中にある一際大きな洞窟の中。 影が全て洞窟の中に納まると、その中の一人の男が周りの者に目配せをすると、 巣の中で眠りこけるドスまりさへ向かって皆同じような構えを取る。 「いーち、にーの、さん!」 そして掛け声と共に両手が繰り出され、その手に持った竹やりはドスの体を貫いた。 突然襲い掛かる激しい痛みに、ドスの目の前から野菜の山は消え去ってしまった。 「いだあああああい!どうなってるのおお!?」 苦痛により夢の世界から現実へと引き戻されたドスまりさが目にしたのは、野菜の山ではなく人だかりの山であった。 「やあ、夢の中で食べる野菜は美味しかったかい?」 その中から声をかける者、それはドスが野菜をせしめ取った里の長の声だった。 「どぼちでこんなことするの!?」 何本かの竹やりが口中を貫いており、ドスは喋るのがやっとの状態の為、ドススパークを打つこともままならない。 ドスの抗議にも、長はそれを無視するが如く、淡々と言葉を述べていった。 「君達のおちびちゃんの事なんだが…私らには生き返らせる力が無いんでね、 申し訳がないんだが、閻魔様に君から直接頼みに行って貰いたいんだ。 私からも頼みますと、一筆したためておいたから、安心してゆっくりして行ってくれたまえ」 「いやだぁ…そんなのゆっくりできないよぉ…」 「まったく、ちびちゃんを返せといったのはお前だろ?」 これは最初に子ゆっくりをつぶした男の声だ。 「もうおちびちゃんかえさなくていいから…たすけてよ!」 「身勝手などすまりさだな。あの母ゆっくりの気持ちを考えてやれよ」 「ころしたのは…にんげん…さんでしょおぉ…?」 「ゆっくりと人間じゃ行く先が違うかもしれないんでね。ゆっくりのことはゆっくりに任せるのが一番なのさ」 「そん…な…もっと…ゆ…」 断末魔を最後まで言うことなく、ドスまりさはその生涯をおえた。 この騒ぎを聞きつけたゆっくりがドスの巣へとやってきたが、不思議と仇を取ろうと行動を起こすものは居なかった。 何故かというとこのドスまりさは、 「あしたはいっぱいおやさいがもらえるから、きょうはドスがいっぱいたべるよ!」 とぬかして、貰った野菜を一晩で全部平らげてしまったのだ。 そんな業突く張りは三途の川を渡れるはずも無く、閻魔様に会うことさえ叶わなかった。 オワリ & あとがき 元ネタは愛の前立てでお馴染みの、あの人の逸話です。 このSSに感想をつける
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※注意 現代ゆっくりモノ。 オリジナル設定あり。 ゆっくりまりさの中味が黒蜜になっていますが、俺設定です。 SS初挑戦です。 ブザーが鳴り響いた。 ゆっくりたちが目を覚ますと、そこは箱のなかだった。 「……ゆ!」 箱は天井低く、狭く、暗かった。そこに饅頭サイズの子ゆっくりばかりが8匹ほど入れられていた。 箱は横広の長方形だが、壁の一方が外に繋がっている。そこから見える景色は陽光きらめく新緑の森。 外に気づいたゆっくりたちが跳ね寄るが、箱と外界は鉄格子によって隔てられていた。 箱はゆっくりの牢屋だった。 「ここはどこ? せまくてゆっくりできないよ!」 「おそとはゆっくりできそうだよ! ゆっくりだしてね! おそとにだしてね!」 がちゃり、と音がして、鉄格子が自動的に外へと開いた。 「!? ――ゆ!」 「ゆ!?」 顔を見合わせるゆっくりたち。しかし警戒することはなく、自分達の行動が結果に繋がったのだと 結論付け、われ先にと光り輝く草原の中へと飛び出していった。 自分達の背後、先ほどまで入っていた箱牢が、静かに地面に沈みこんだ事に気づかないまま。 ※ 『さあ始まりました全国高校ロボットバトル・準決勝、第一試合です』 『バトルフィールドは森。舗装されていない草原と木立のステージです。二足歩行とローラーダッシュ が移動手段の西日暮里高校には若干不利な状況です』 屋内に作られた人工の森林。天井には青空が映し出され、太陽代わりの照明が森を明るく照らして いる。森のあちこちには状況を確認するための隠しカメラが設置されており、そのうちの数台が森の 地面から浮き上がったゆっくり牢から、ゆっくりの群れが飛び出すのを映し出した。 『各地点でゆっくりがリリースされました。数は合計で31体。れいむ種とまりさ種です。全て同じ親から生まれた姉妹となっております』 『子ゆっくりしかいないのにはなにか理由があるんですか?』 『親ゆっくりですとバレーボールほどにもなりますから、体当たりでロボットが破損してしまう可能性 があるわけですね。それは競技目的からすると望ましくない』 『なるほど。事故による不戦勝は好ましくないと』 『そういうことです。では解説席にお越しいただいている、親ゆっくりまりさ・れいむ両氏にコメントをいただきましょう』 解説の男はそういうと、足元から透明な箱に収まった二匹の親ゆっくり持ち上げ、解説席の上に置いた。 『やべでねぇぇっぇぇぇ!!』 『ゆっぐりじないでね! みんなにげで!』 だくだくと涙を流し、鼻を赤くして自らの子供らを案じている。 『おっほ! これは……』 『キモイですね~。では試合を見てみましょう。最初に群れを捉えるのはどちらになるのでしょうか!?』 ※ 「ゆっゆ~♪」 「ゆっ、ゆ~♪」 子ゆっくりの群れが楽しそうに移動している。 いずれもまりさ種で、心地よい自然のなかをきょろきょろしたり蝶を捕らえたり三つ葉をくわえたりしながら跳ねていた。 『おっとー。鼻歌を歌っている。のんきに鼻歌を歌っているのは? 6番グループのまりさ群ですか?』 『ひーふーみーよー・・・・・・10体? これは多いです』 『よくみると8番グループのまりさもいます。2グループ、2グループいます』 『これは大漁ですね。全体で31匹ですから、三分の一がここに集まっていることになります』 まりさの群れが移動しているのは茂みと茂みの間に不自然にあいた道だ。 獣道でもないのに歩きやすく道が出来ていることに何の疑問も感じないまま、群れは目的もなく進む。 やがてゆっくりたちは開けた草原に出た。 人間にしてみれば狭い、しかしゆっくりにとっては大草原ともいえる空間だ。しかもその中央、木漏れ日の直下には畑がある。 『6番8番がたどり着いたのは、畑。ゆっくりが好む野菜をゆっくりが好んで荒らす畑を模して配置しています』 『状況を把握しているわけがないですから、これは間違いなく喰いつ――、!? あぁっと、これは!!』 嬉々として畑に駆け寄るまりさの群れ。しかし、その畑の作物の間から見える赤白のリボン。 『ゆっくりれいむです! これは2番グループ総勢・・・6匹!』 『これは……』 畑で食事中のれいむ群が、来客に気づく。跳ね寄っていたまりさ達も先客の存在に気づき、歩みを遅めた。 畑のそばに揃って、まりさ種が言った。 「「「おじゃまかな!?」」」 れいむ種は畑を見回し、れいむ種同士で頷きあった。 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 にこやかな挨拶が取り交わされ、まりさ種は畑に入ることを許された。 大根を掘り出し、薩摩芋にかじりつき、白菜に包まりながら、暴食の宴が繰り広げられる。 「うっめ! めっちゃうっめ!」 「むーしゃむーしゃ」 「んっがぐっぐ」 「「「しあわせー!」」」 ゆっくりたちはこの世の春を謳歌した。畑の中央にある立て看板「にんげんのはたけ ゆっくりしたらしぬ」には見向きもしない。 『これは思ってもみない展開。この畑に過半数のゆっくりが集合してしまいました』 『総ゆっくり数31体ですからね。この16体が一つのチームに一網打尽にされると、その時点で逆転が不可能になります』 『そしてこの畑はF大付属のスタート地点近く――』 突然、畑近くの茂みが大きく動いた。 その音と動きにゆっくりたちが1匹また1匹と食事を止め、ついには全員が注目しだした。 茂みはなおも揺れ動き、その音を大きくする。まるで何かが隠れているかのよう。 ゆっくりたちは一向に姿を現さない何者かに痺れを切らし、茂みを囲むようにして待ち受ける。 その顔には友好的な笑みがうかんでいる。何かを示し合わせるように互いに視線で合図する。 ついに一匹のゆっくりが茂みから跳び出した。 「「「ゆっくり――・・・・・・」」」 サプライズをねらった子ゆっくりたちが、その闖入者を見上げた。 それは親ゆっくりよりも大きい、バランスボールほどもあろうかという・・・・・・ゆっくりゆゆこだった。 「「「――していかないでねええええぇぇぇ!!!」」」 瞬間、ゆっくりの春は終わりを告げた。 『キターーーー!!』 『F大付属工業高校のメカゆゆこがここで登場です! おおきい! でかい! いたしかたない!』 『下馬評ではゆっくりの警戒心を煽りすぎるとしてベスト16にも残れないと酷評されたメカゆゆこ! しかしふたを開けてみればどうでしょう! 並み居る強豪を押しのけての準決勝進出! ストイックなまでに削減された機能とこだわりぬいたゆっくりゆゆこへの偏愛! 幾重にも織り重ねられた狂気という名の錦が、この準決勝の舞台にも飾られてしまうのか!!?』 『にげでえぇぇぇあがじゃんんんんんんんん!!』 『だずげであげでよ"尾"お"お"おおおぉぉぉぉぉぉおぉ!!』 蜘蛛の子を散らしたよう――――。メカゆゆこを前にした子ゆっくり達の様は、そう表現すべきものだった。 統率もなく、策もなく、ただ泣き叫び散り散りに逃げ出すゆっくり。しかし1匹のれいむが取り残されていた。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆ・・・」 地面に仰向けに倒れ、笑顔のままひきつけを起こしている。 その目に光る涙の粒が流れ落ち、土に吸い込まれるかと思われた刹那、メカゆゆこの開きっぱなしの口から 飛び出した銀色の触手が逃げ遅れいむを貫き上げた。 逃げながら後方を窺っていたゆっくり達、あまりの光景に立ち止まる。 触手の先でいまだ痙攣するれいむ。その涙をにじませた微笑みが――、瞬きのうちにメカゆゆこの口内に消えた。 咀嚼の動作を行い、嚥下したような震え。 1匹を飲み込んだ機械仕掛けのゆゆこは、舌なめずるように銀色の触手を口から出した。 見せ付けるように突き出した触手の、餡子にまみれた先端が今、ゆっくりと三股に分かれる――。 「ひぎいいいいいいいいいいいいいいい!」 「い"やべでええぇえぇぇぇっぇぇぇぇぇぇ!!!」 「どうじでぞんなごどずるのおおおおおおおおおお!!」 『これは酷い! ノリノリの精神攻撃! あぁーと! メカゆゆこ動いた。回転しながら高速で移動し、 ゆっくりたちを取り囲む軌道! 徐々に輪を縮めてゆっくりの群れをひとつ所に集めてゆく!! ゆっくりは恐慌状態です!!』 『メカゆゆこの触手ですが、医療用のロボットアームを改造したもので自在に動きます。 現在メカゆゆこが見せている武装はこの触手1本。あとは転がりによる体当たり攻撃のみです。美しいまでのシンプルさ!』 『なんでごんだごどずるのおおおおおおおおおお!!! ・・・・・・まりざだずげであげでっ!』 『ゆっぐううううううううううううううううっ!!』 透明箱の中、おもいっきり膨らんで箱を破ろうとする親まりさ。息を止め顔を赤くし、箱の中で体をほぼ四角形にしながらがんばる。 しかし解説役ふたりが動じることなく実況を続けている事が、箱の信頼性をあらわしていた。 メカゆゆこの包囲旋回によって逃げ場を失ったゆっくりたち。身を寄せ合うようにしてかたまり、 恐怖に身を震わせながら泣き喚いている。その目の前で、メカゆゆこが止まった。土に汚れた顔面は、 ゆっくりたちには目元に影が浮かんだ凶悪な表情に映る。 「ひいいいぃぃぃぃっぃいいい!!」 円陣を組むように集まったゆっくりの群れから、数匹が先んじて離れた。 「まりさはおいしくないんだぜ!」 「そこのれんちゅうとよろしくやってるといいんだぜ!!」 「ゆっくりしね!」 仲間を見捨てたのはいずれもまりさ種。珍しくもない行動だ。 しかしメカゆゆこは見逃さない。閃光となって駆け抜けた触手が、逃げ出そうとした3匹のまりさを滑らかに襲った。 「けぺっ!」「ぉぶろっ!」「ゆっぐ……! やめえええぇぇぇ!」 細身の触手はゆっくりの形状を保ったまま貫いた。 触手はそのまま地面に先端を突き刺し、ずぶずぶとめり込んでいく。 触手のまちまちな位置に刺さっていたまりさたちは地面に押され、一列に並んだ。 そうしてから触手を抜いたメカゆゆこ。まりさ3体を並べるようにして口にくわえると、一気に触手を引き抜いた。 「だずっ、だずげっ・・・ぺええぇ!!」 「おがじゃ! おがぢゃあああぁぁぁぁん!」 「やめえぇ! かえりゅ! かえりゅぅぅぅぅぅぅ!!!」 べそをかき、絶望に塗れ、裏切った仲間達に命乞いをしながら、傷口から黒蜜を垂れ流すまりさ。 そのまりさたちが、ゆっくりとひしゃげてゆく。苦悶、懺悔、後悔。中身と共に流れ出すさまざまな感情。 その全てを絞り抜かれ、まりさたちは絶命した。触手の先が残骸を口内に招きいれ、念入りな咀嚼が始まる。 それが終わると、そこには口元を黒蜜で濡らしたメカゆゆこが残った。 「…………」 子ゆっくりたちは声もない。 あるものは髪と瞳を白く変色させて放心し、 またあるものは涙にまみれた顔をこれ以上ないほどゆがめたまま自身の舌を喉に詰まらせて窒息しつつある。 諦観にくすんだ微笑でその場の草を食む者や、 なぜかヘブン状態に至った者。 違いはあれど、皆逃走への意志を失っていた。 それを確認すると、メカゆゆこは一際おおきく口を開けた。 そのときである。 鉄のかたまりが、横合いからメカゆゆこを突き飛ばした。 『こ、これはーーーー!!』 『これ以上ないタイミングで! そして瀬戸際のタイミングで! かけつけました西日暮里高校、間に合ったーっ!』 鉄塊。 それは無骨なロボットだった。左手にドリル、右手にはサブマシンガン。 足短く、横広で頭部がない。骨格をむき出しにしたような外観はお世辞にもスマートとは言い難い。 その機体の上半身が、ゆっくりと子ゆっくり達の群れを向く。 ほぼむき出しのコックピット。 そこに鎮座しているのは一匹の子ゆっくりれいむだった。 「ゆっくりあんしんしてね!!」 その力強い言葉に、ゆっくり達の瞳に希望が点った。 ゆっくりをのせた機体『テイクイットEZ8』は向き直る。 いましがた突き飛ばした敵、メカゆゆこへ。 いまだ転がり続けている球体は木にぶつかって止まった。逆さまのメカゆゆこ。その両眼が鈍い輝きをもってEZ8を捉えた――。 後編に続く? 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(*)お兄さんがゲスです。 「おにいさんおかえりなさい!れいむのゆっくりぷれいすへようこそ!」 男がくたくたになって家に帰り着き、後ろ手で扉を閉めると男の前にゆっくりれいむがすりすりと靴箱から出てきた。 男に喋る饅頭を飼う趣味はない、つまりれいむはこの男の住居に無断で入り込み、おうち宣言をしたことになる。 しかし男はなぜれいむがここにいるのか不思議がるでも追い出すでもなく、目の前のれいむにゆっくりと近づくと、やさしく頭をなでた。 「ゆっゆー!もっとなでてね!」 れいむはバスケットボールサイズの健康な成ゆっくりのようだ、髪の毛の色つやは申し分ないし 目も透き通っている、男はれいむの脇に腰掛けると、身ごもっているのかを聞いた。 「そうだよ!れいむのなかにはかわいいあかちゃんがいるよ!」 胎生型にんっしんをしているようだ、男はなんとなくれいむに気づかれぬよう 廊下の奥のパソコンのおいてある部屋を盗み見た、れいむ以外のゆっくりが居る形跡はない、旦那役が居ないのだ。 饅頭の機嫌を取っても空しいだけだ、男は旦那の所在を聞いた。 れいむの夫であるゆっくりまりさはゆっくりの中でも賢かった、しかしれいむがにんっしんしたすぐ後 人間のおこぼれに預かろうと焼却炉の中の生ゴミをあさっていたところ、炉の扉が閉められかえらぬゆっくりとなったのだ まりさが最後に思った事、それは「何故、人間に迷惑を掛けていない自分が焼かれなければならないのか」という事だった 所詮ゆっくりの浅知恵などその程度の物なのだろう。 まりさは自身の体が炎に包まれ、永遠にゆっくりできなくなってなお、焼却炉が一体何のための装置なのかを理解する事はなかった。 そんなことはれいむはもちろん、男も知るよしがない。 「かりにいったらかえってこなくなっちゃったよ・・・。」 あらかた予想される社交辞令を述べて男はパソコンのある部屋へ入っていった 後に残されたれいむの頭の上にはエクスクラメーションマークが浮かぶ。 何故だ、こんなかわいそうでかわいいゆっくりには おにいさんはおいしい食べ物をたくさんくれてしかるべきだというのに、れいむはてんてんとお兄さんの部屋へと跳ねていった。 「おにいさん!れいむはおなかがすいたよ!はやくごはんもってきてね!」 男はふすまの隙間からこちらを見上げるれいむを一瞥すると 机の上にもう半年ほど転がっていたサラダせんべいを3枚れいむの前に置く。 といっても、これは一枚づつラップされているので、このままではゆっくりは食べる事ができない 体つきれみりゃがポテトチップスをパーティー開けした事があると、ゆっくりを飼っている同僚が言っていたのを思い出すと 男はれいむの前のサラダせんべいをそのままにしてみることにした。 「ゆゆ〜、お兄さんはとってもゆっくりできるね!ほんとうはもっとはやくもってくるべきだったけど、れいむはかんだいだからゆるしてあげるね!」 饅頭が何と喋ろうとどうという事はない、どうせ猫や犬が喋れるようになったとしたら、年がら年中こんなことを喋っているはずだ その点で男は動物を飼っている人間が何を考えているのかよく解らないと、常々思っているのだ。 とはいえボウフラではないこの男には、もちろん純粋な青少年期があった その当時野良犬を拾い飼っていた男は「お手」や「お座り」を「原爆」「ぽん酢」と言った具合に言い換えてその犬に教えていたが。 それでもなお犬がこちらの意のままの動きをするのを見て 犬が人間の言葉を介して意志を理解する動物の優良児がごとき扱いを受けているのに無性に腹がたったものだ。 ―思えばあの頃から、俺は頭の使いどころをかなり間違えていたのかもしれないな。 男はため息をつくとテキスト編集をやめてれいむに向き直った。 れいむは文句一つ言うことなく一生懸命にパックと格闘している、ゆっくりにしては謙虚な性格だ もっとも腹が減ったので文句を言う事すら忘れているだけなのかもしれないが、にんっしんしたゆっくりは普段以上に燃費が悪いのだ。 男はれいむがまだ手をつけていないパックを開いてやると、れいむに咥えさせて、風呂ガマに火を入れた。 「おにいさん、れいむはもうねむいよ。」 ならそうすればいいじゃないか、言うまでもなく男はれいむを見おろした。 「こんなところじゃねむれないよ!ゆっくりべっどをよういしてね!」 男はため息をついてからロフトベッドに登り、れいむの脇に枕を投げつけた。 「このおふとんさんはあんまりゆっくりしてないよ!でもれいむがまんするよ!」 男は、胸くそが悪くなってしまう前に風呂に入った。 翌朝のこと。 「う゛、うまでる゛うぅぅぅぅぅ!」 男は不快な音で目を覚ました、れいむが産気づいたのだ。 案外速かったな。 男は、初めてれいむを見たときから予定していた行動に移った、会社にはメールで休む旨伝えてある。 男は、もちろんゆっくりを愛護する人間ではない。 しかし彼の今までの行動は、多少の不足はあってもれいむを少なくともそれなりにゆっくりさせている。 彼にとってはこれも、長い長い虐待の一環に過ぎないのだ。 男はれいむの裏に回って、ここのところよく使うようになった引き出しの、一番上の段を開いた。 「おにいざ゛ん、なにじでるの?でいぶぐるじいんだよ?はやぐずーりずーりじでね!」 野生のゆっくりは出産の際夫役のゆっくりが奥さんにすーりすーりして苦痛を和らげてやる 頭の回らないれいむでもそのことは遺伝子が覚えているのだろう、しかしこの期に及んで男にとってそんなものは加虐心をかき立てられる音楽に過ぎない これから幕を開けようとしてる甘美な時間、その訪れを告げるファンファーレのなのだ。 引き出しの一番上、今まで男の理性によって抑圧されてきた悪意たちが、次々と牙を剥く ピンセット、包丁、アルコールランプ、そして手動の泡立て器。 どれもこれも一見すればただの便利な文明の利器、しかし男の悪意がそれらに憑依したとなればそれは別の話だ。 「ゆ゛っ!」 男は、れいむの前に仁王立ちになった。 男が身を固めたのは白衣、そう、十匹のゆっくりが居ればその十匹全部が怨嗟の念を込めて「かこうじょ」と呼ぶ施設の職員たちの装備だ。 「おにいざん!ぞんながっごうでなにじでるの!?」 「よくもまあこんな危機感のない生き物がこの世の中を生きてゆけるもんだよな、本当に頭にくる生き物だ。」 「なにいっでるの?ばが」 「人間ってのはな、相手に合わせるって事ができる生き物なんだよ、それを仲間が何匹も何匹も何匹も殺されたってのに 一向に学習しねーでおうち宣言、飯持ってこい、ゴキブリでももっと慎ましやかに生きてるってんだよ、穀潰しが。」 れいむの顔がみるみる青ざめる、そうだ、これは罠だったのだ、安心してこんなところに飛び込んだ自分が馬鹿だった。 れいむは、何百回目かの「生まれて初めての後悔」をした。 「聞いてんのかよ、舐めやがって。」 「やべでえええええ!あがぢゃんう゛まれでぎじゃだめだよ、ごのじじいはゆっぐりでぎだいよ!」 「俺がゆっくりできなきゃどうすんだよ。」 「ゆ゛っぐりじないでにげるよ!くそじじいはぞのままじ、ゆ゛!なにずるの!?」 男はれいむを持ち上げると、手元のアルコールランプに火を点け 石綿あみを乗せた三脚の上にれいむを移した、すでに網は手では触れない温度になっている。 「おにいざん、おろじで!」 男は表情を変えることなく次の作業に移る、包丁を持つとれいむの後ろに回りこみ、後頭部にその切っ先を差し込む。 「ああああああああああああ!やべでぇええ!」 「黙れ屑が、お前がどれほど生きる価値もない生物か、今から教えてやるんだ。」 「れいぶが何かわるいごどじだならあだまりまず、おでがいだがらあがぢゃんだげは!あがぢゃん」 体に手をつけられた事で、それが体内の子供をねらった物だと思ったのだろう、しかし損な生ぬるい男ではない。 「黙れってのが解んねえのか?言ったことを理解できてねえようだな、おまえらが生きてるってだけでこちとらものすげえストレスなんだよ。」 「うぎいいい!」 れいむの頭に直径5センチほどの穴が開いた、男はそこから、先ほど取り出した泡立て器の先端を差し入れる。 「あががががあ、いだあぁ!いぎぎゃああぁ!」 妊娠のために大量のあんこをため込んだ体はれいむの意に反して非常に打たれ強い 普通のゆっくりならばショック死してしまうようなこの刺激にも、母としての体が抵抗しているのだ。 「やべでぐだざいぃぃいい、あがぢゃんだげ・・・あがぢゃんだげげげげげ」 中枢餡に達したようだ、男は口角だけをあげて笑うと、れいむのつむじの部分にピンセットの尻の部分を突き立てる、ゆっくりの出産を促すツボである。 「あがああ!だべぇえ、あがぢゃんっででぐるなあああ!」 そんなれいむの叫びも空しくれいむの産道はみるみる広がり、何も知らない赤ん坊が無垢な笑顔を浮かべながら、待望のおんもへ飛び出した、一人っ子である。 親二人子一人、幸せを甘受するにはこれ以上に似合った器はない、が、残念ながらゆっくりにそんな資格はない。 「ゆっきゅりしていっちぇね!」 「あああ・・・あがぢゃん・・・でいぶがおかあざんだよゆっぐりぢでいっでねぇ!」 愛する伴侶との待望の子供、足の焼ける痛みも頭に刺さった異物も忘れ、れいむは笑顔を浮かべた。 悪い景色ではない、あまねく生き物の母と子の交流は見ていて心が和むものだ、男はため息をついた、当然ゆっくりだって例外ではない。 しかし、ゆっくりはその普段の素行が問題なのだ、人間同士でも自分の憎む相手の幸せを破壊してやりたいという感情が沸くようなシチュエーションなど このすさんだ世の中には掃いて捨てるほど存在するが、罪に問われるためそれを実行するようなことはそうそうない。 しかし、ゆっくりをどうしようとそのような事はない、男の行動は得てしてまっとうな行動に過ぎないのだ。 「りぇいむのおきゃーしゃん、しゅーりしゅーりちようにぇ!」 「だめだよ!はやぐごごがらにげで!ごごはあっづぐでゆっぐりでぎないよ!」 「お母さんは今にんっしんの痛みで疲れているからね、そっとしておいてあげてね。」 男は口添えした。 「このじじいのいうごどなんてきかないで、さっさとにげてね!」 多少傷が回復してきたのか、濁点が少なくなってきたようだ、親れいむの言葉にうろたえる子れいむ。 そういえばお母さんは何か変だ、変な台の上に置かれている、焦げ臭いにおいもする それでも母れいむ以外を目にしたことのない子れいむに取って、それが最愛のゆっくりである事には変わりなかった。 親が足を焼かれ、おろおろとするばかりの子れいむ 「どうしてこんなことするの?」と泣き叫んでくれるのを期待していた男にとって、目の前の押し問答は退屈なものでしかなかった。 男は、ここから一気にたたみかけることに決めた。 「おいれいむ、生きて帰りたいか?」 「じねぇええ」 「おい!」 れいむの頬を叩く、子供が騒ぎ始めたがうっとうしいので気にしない。 「おうぢがえるう゛ううう!はなぜえええ!」 「わかった、そうしようか、その代わり条件がある。」 男は三脚からアルコールランプを外した、直接足を焼けばもう二度と歩き回ることはできないが こうして石綿あみを使えば、地面をすりすりとはいずって歩く程度の事はできる。 最後の最後まで望みを捨てさせないこと、それが男がゆっくりを虐待する上での信条なのだ。 「じょうけんってなに!はやくしてね!れいむはあかちゃんといっしょにかえるよ!」 「生きて帰るなら、お前のあんこを少し頂く。」 「そのぐらいだったらぜんぜんかまわないよ、ちょっとのあんこのためにしぬとおもったの?やっぱりじじいはばかだね!」 さっきまで痛みにのたうち回っていたというのにもう性根の悪い笑みを浮かべている。 これ以上なく馬鹿で救いようのない饅頭だ。 男はほくそ笑んだ、自分の頭に刺さっている物が何のための物なのか、類推解釈することすらできないらしい。 「よし、なら約束通り、後であんこを貰うぞ?」 「いいからさっさとしてね!あかちゃん!おくちのなかにはいってね、こんなゆっくりできないところからひなんするよ!」 ぺろりと舌を出して子れいむを招き入れるれいむ 怖くなったのか子れいむは「ゆーん!」と癪に障る鳴き声を上げながら母親の口の中に入ってゆく。 予想外の行動だったが、男の悪魔的な思考はここでさらなる虐待法を思いつくに至った。 「さあ!さっさとあんこをとってね!いたくしたらころすよ!」 「ああ、わかった、赤ちゃんにさよならを言っておけ。」 「ゆっ?何言ってるの?」 そして、男は実にゆっくりと泡立て器のハンドルに手を掛けた。 中枢神経が破壊されると、生物はてんかんに似た症状を発言する、意識障害、不随意運動などがそれだ、つまりけいれんである。 ゆっくりはその発現が顕著で、強い衝撃を与えられると白目を剥いて痙攣するというのはあまりに有名だ 今回男は、そんな衝撃の中でも、最強の物を、今からこのれいむに与えようとしているのだ。 「あかちゃん!おかあさんのおくちからはやくでてね!はぎぃ!きゅっ!きゅゆゆゆ、ゆいいいい!」 突如、れいむが歯を食いしばって、耳をつんざくような金切り声をあげた。 男はゆっくりとハンドルを回していた手を休め、泡立て器を引き抜いた。 母れいむの脳に当たる部分はまだ多少機能しているのか、こちらを向いて何かを訴えるように飛び跳ねている しかしすでに平衡感覚がすでに狂っているのか、飛び跳ねる方向はめちゃくちゃで、食いしばったまま開かない口の中の子供が助けを求めるくぐもった声が聞こえてくる。 「いぢゃいよぉおおお!おかーしゃん!おくちをあけちぇ!りぇいむのおめめ!みえないよぉ!!」 「いぎいっ!ぎぎっ!きゅきいぃい!」 表情を司る神経もズタズタになってしまったのだろう、普段のれいむの表情からはおおよそ予想もつかない 物理的になんらかの転換が起ように変貌してしまったれいむの表情に、男は鼻でため息をつきながら言い放った、相手にそれが聞こえているという保証はない。 それは既に男の自慰行為の範疇の出来事であった。 「俺はよく混ざったあんこが大好きでね。あばよ屑共、世の中そう甘いことばっかりじゃねえんだ、せいぜい甘くなってくれよ。」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ、ゆいっ!ゆききききっ!きゅいいいい!いいいいいい゛!!!」 男は再び、思いきり泡立て器のハンドルを回し始める。 「いーっ!いいーーっ!いぎいいい!ぎいいいいい!!」 れいむの伴侶であるまりさを焼き殺したのは、誰でもないこの男だった 二、三日前からゴミ捨て場の焼却炉の周りをうろついているまりさに目をつけていたのだった。 ゆっくりは普通単独では狩りをしない、まりさに男が訪ねたところ 家には身重の妻が居るという、そう、事は最初から男の手のひらの上で回っていたのだ。 男は、二度と開くことのない母親の口の中で泣き声をあげ続ける赤ん坊の声に耳を澄ましながら まりさの幸せそうな表情を思い出していた、母親の口の中で、器用に目の部分だけを母に噛みちぎられ泣き続ける「しあわせ」を眺めながら。 男の家の扉、犬用の出入り口のようなゆっくりサイズの扉の上に、かわいいゆっくりの挿絵の入った、こんな表札がかかっている。 「ゆっくりみぼうじんきゅうさいじょ ゆっくりしていってね!」 こんにちは、初めて書いてみました。 かわいいからこそ、殺したくなる、ぶちこわしたくなるんです。 By お前の母親
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01の続き ========== 「だ、だれなんだぜえぇぇ!! まりさは目をつぶってるから、正直に名乗り出るんだぜえぇぇ!?」 「あ、ありすおねえさんは、まりさと一緒にいたよ! だから、ありすおねえさんとまりさは違うよ!」 「…まりさ…ひろばに戻るときは…わたしたち…別々に戻ったわ……」 「あ、ありすおねえさん…! ち、違うよ! まりさじゃないよ! まりさは…!」 犯ゆんを特定しようと足掻くもの。 「だ、だれだあぁぁ?! で、でいぶは死なないよっ! ぜっだいにいぎるよおぉぉ!」 「ゆ…ゆふふ…死んじゃうんだね…れいぶだぢ…みんな死んじゃうんだね…ゆっくりりかいしたよ…」 生に執着するもの。生を諦めるもの。 「ゆやあぁぁ!! れいみゅたち、ちんじゃうのおぉぉ?! きょわいよぉ…」 「うー!? いやなんだどー!? じぬのはいやなんだどー!! さぐやー!!」 「ゆ、ゆっ! だ、だいじょうぶだからねぇぇ! れいむのおちびちゃん達ぃ…! おちびちゃんは、おかあさんが絶対に守ってみぜるがらねえぇぇ!!」 ただ恐怖に震えて寄り添い合う母と子。 長ぱちゅりーから知らされた驚愕の事実は、ゆっくり達にとって、何の救いにもならなかった。 いまや、仲間だと思っていたゆっくり達の、誰もが信用できない。 隙を見せれば、次に死ぬのは自分かもしれない。 身動きする事すら恐ろしく、ゆっくり電車がガタゴトと音を響かせる中、沈黙が場を支配する。 「そ、そうよ! あのゆっくりの中身は餡子さんだったわ! だったら、おさとありすは、犯ゆんじゃないでしょ!?」 沈黙を破ったのは、ありすだった。 「……むきゅ…ありす…それは私も考えたわ… でも…例えば犯ゆんが私とまりさを殺したとして、まりさのお帽子を私の死体に被せて、自分は私のお帽子を被れば、 まりさの餡子さんを残して私になる事もできるのよ。絶対ではないの…」(※121ページ 図1参照) 図1 ▲ ⌒ ? ま ぱ 犯 ↓ 無 ▲ ⌒ ま ぱ 犯 餡 ま ぱ ←ゆっくりにはこう見える 「……そう。つまりぱちぇは、ありすも疑ってるのね…」 「……」 「…おさ…おさを信用して聞くわ。何か犯ゆんを見つける方法はないの…?」 再び沈黙が流れた後、口を開いたのはやはりありすだった。 このまま事態を動かせず、いたずらに疲弊するよりは、勝負に出る事を選んだのだった。 「むきゅ…むきゅう……」 長ぱちゅりーは考える。 今まで、群れの皆が困ったときに助けてくれたのは、経験と知識。 つまりは、お兄さんがくれた思い出達だった。 だから、きっと今度もぱちぇを助けてくれる。 そう信じて、長ぱちゅりーは、お兄さんとの思い出を振り返る。 …… むきゅん!? おにいさん いきなり どうしたの!? おにいさん…き…きもちいいわぁ~ ぱちぇのなかの くりーむが とろけちゃう… もっと もみしだいて~ ……! 「むきゅうっ!!」 「おさ、何か思いついたのね。ありす達に説明してちょうだい。」 「むきゅ、いいこと? みんなこれから、ふたりずつで一組になってちょうだい。 そして、お互いに体をくっつけあって、他の組とは離れるの。」 「ゆ…? どおおしてそんなことするのぉ?」 「まだ続きがあるの。ゆっくり聞いてちょうだい。もし、その状態で誰かが襲われて死んだとするわ…」 「い、いやなんだどー! まだじにたくないどー!?」「ゆんやあぁぁ!!」 「しーっ! れいむのおちびちゃん達! ゆっくりおさの言うことを聞いてね!」 「うー…」「ゆぅぅ…」 「…他の組のゆっくりを殺すには、自分が組になっているゆっくりから離れなければならないわ。 だから、誰かが襲われた時に、他の組がみんなお互いに離れていなければ…」 「襲われたゆっくりと組んでいたゆっくりが犯ゆん…なのぜ」 「そうよ。そして、他の組で離れたゆっくりがいれば…」 「その組のゆっくりのどちらかが犯ゆん…ということね」 「むきゅ。そうね。その場合は、どちらが犯ゆんかは決まらないわ…可愛そうだけど、同じ組のゆっくりには…」 一回で理解したありすと運転士まりさを除く他のゆっくりに何回か説明をした後、 赤ゆっくり以外の全員がようやく長ぱちゅりーの作戦を飲み込む。 「で、でも?! それって誰かひとりは襲われるってことでしょおぉぉ! それに犯ゆんと同じ組になったら、むじつなのに殺されちゃうかもしれないよぉぉ! れいむはいやだようぅぅ!! じにだぐないよおぉぉ!?」 真っ先に異を唱えたのは、痴ゆんれいむ。 他のゆっくりの中にも、口にこそ出さないが、戸惑いを隠せない者はいる。 「このまま一人ずつ殺されてゆくよりは、よっぽどマシでしょ! 他に何か手があるの?! れいむ! 覚悟を決めなさい! とかいはじゃないわよ!」 「ゆ…ゆう………ゆっくりりかいしたよ…」 「…また霧さんが出てきたんだぜ…」 運転士まりさの声を機に、ゆっくり達が互いに組を作り始める。 長ぱちゅりーとしんぐるれいむ ありすと若まりさ 運転士まりさと痴ゆんれいむ つがいれいむと、二匹の赤ゆ達 段々と霧が深くなって行く中、青ざめたゆっくり達を乗せ、ゆっくり電車はひた走る。 「むきゅ! みんな! 犯ゆんがわかったら、戦えるゆっくりは全員でかかるのよ! 倒せなくてもいいわ! でんしゃから落とすだけでいいの! 逃げ切れば私達の勝ちよ!」 「とかいはに生き残るわよ!」「ゆ、ゆう…!」「だぜぇっ!」「でいぶはじぬもんがぁ!」 「ゆふふ…もうどうでもいいよ…れいむはおちびちゃんに会いにいくよ…」 「おちびちゃん達は絶対に守るよ!」「ゆぅぅ…きょわいよぅ…!」「うー♪」 そして霧が全てを包み隠す。 ========== 「むきゅ? おそらを…むきゅうううぅぅぅ!?!?」 「「「「おさあぁぁぁ!?!?」」」」 「むきゅうう!! みんなぁっ! まだうごかないでっ!! むぎゅうううっっっ!!!!!」 「だ、誰か離れた?! ありすとまりさは離れてないわ!」「ま、まりさはありすおねえさんと一緒だよ…!」 「まりさとれいむも離れてないんだぜ!」「で、でいぶはいぎでるよぉ!!」 「おちびちゃん達は絶対に離さないよ!」「おきゃあしゃあん…!」「うー♪ なんだかたのしいんだど~♪」 「ゆふふふ……」 長ぱちゅりーは、帽子ごと何かに髪を掴まれ、宙に浮いていた。 じたばたと身を捩り、髪が何本か抜けるが、それで逃げられる訳がない。 「むきゅうう!! みんなぁっ! まだうごかないでっ!!」 生け贄の羊は自分自身だった。 だが、それでいい。元より、自分が考えた策だ。 あとは、ありすが…最悪、ありすが犯ゆんだった場合、運転士のまりさなら皆を引っ張ってくれるだろう。 不意に、スッ…と、体が下に下がったかと思うと、次の瞬間、激痛があんよを襲った。 「むぎゅうううっっっ!!!!!」 一瞬遅れて、体が地面に擦りつけられているのだと気付く。 高速で走行するゆっくり電車に、地面を引きずらている状態だ。 「むきゅううぅ!! いたいいたいいたいぃぃ!!! はなしてぇぇ!」 細かい砂がざりざりざりっと底部の饅頭肌を削り取り、尖った小石が高速で掠めて長ぱちゅりーのあんよを切断する。 傷口から漏れだした生クリームが、乾いた地面に白い筋を何本も描いて行く。 なんとか痛みから逃れようと、体をくねらせて、地面とあんよが平行になるようにする。 ただ引きずられていては、あっという間に体を削り取られて絶命する。 地面を跳ねる事で、設地する時間を減らすのだ。 せめて、霧が晴れ、皆が反撃の体勢を取れるようになるまで、生きて、時間を稼ぎたい。 その一心で、長ぱちゅりーは大きく跳ねようとする。 だが 何か、巨大な力が、ぱちゅりーの頭を押さえつけていた。 跳ねようと、上に向かった力は、全てその力に押し返される。 地面と、上からかかる力に挟まれ、長ぱちゅりーのあんよが、凄まじい勢いでガリガリと削れて行く。 あんよの皮が一瞬でベロリとめくれ、千切れて、体から離れていった。 ゴポリと、大量の生クリームが地面に零れる。 「むぎょぉぉっ?!?! たすけてえぇぇっ!!! お そこで下顎がなくなり、それ以上は声を出せなかった。 生クリームが漏れ出す度に、その中の記憶が流れ出すのか、走ゆん燈のように、長ぱちゅりーの記憶が脳裏に浮かんでは消える。 その記憶の中に 森のけんじゃは、真実を見い出した ========== 霧が晴れる。 「ぱちぇえええぇぇえぇぇっっ!?!?」 「「「「「おさあああああぁぁっ!?!?」」」」」 ゆっくり達の絶叫が響き渡る。 ゆっくり達の真ん中に横たわっていたのは、口から下がなくなった長ぱちゅりーだった。 見開いた目からは涙が溢れ、電車の床を濡らしている。 口より上の部分からも相当量の中身が漏出しているのか、長ぱちゅりーの後頭部はベッコリとへこんでいた。 「ぱちぇえぇっ!! ぱちぇえええっ!! いやあっ!! こんなのいやああぁっ!!」 ありすの声に反応したかのように、長ぱちゅりーの上唇が微かに動く。 最後の力を振り絞って、仲間達に何かを伝えようとするように。 (…犯人……は…………) しかし、もう長ぱちゅりーの体に、声を出すための機構は存在しない。 長ぱちゅりーの瞳から最後の涙が零れ落ちると共に、唇の動きも止まった。 「ゆふふふ……」 ゆっくり達の視線がその声の元に集まる。 殺気と畏怖を込めた視線を向けられながら、しんぐるれいむは笑っていた。 ありすが最初に動いた。 みょんの亡骸に刺さっていたはくろーけんを咥え、しんぐるれいむに突進する。 「ゆ゛っ…」 はくろーけんが、グシュと音を立てて、しんぐるれいむの下腹に突き刺さり、しんぐるれいむは僅かに呻く。 「ゆ…ゆわぁぁぁ…!!!」 「ゆ゛ぎっ…」 若まりさが帽子から小ぶりな枝を取り出し、しんぐるれいむのあんよに突き刺す。 「よぐもれいぶのまりざをぉぉ!!!」 「ゆ゛がっ…」 つがいれいむが、死んだまりさの帽子から枝を取り出し、しんぐるれいむのあんよに突き刺す。 「じねえええっ!! よぐもぱちぇをぅぅ!! ゆっぐりどじだ! とかいはなぱちぇだっだのにぃぃ!! いっづも! むれのごどばがりかんがえでる! ゆっぐりどじだ! おさだっだのにぃぃぃ!!!!」 「ゆ゛っ…ゆ゛っ…ゆ゛っ…ゆ゛げげっ……」 ありすが、叫びながら、はくろーけんを抜いては刺し、抜いては刺しを繰り返す。 「ありす…もういいのぜ…その怪我なら…ソイツはもうまともに動けないのぜ… それに…今のありすを見たら…おさは…とかいはじゃないって言うのぜ…」 運転士まりさの言葉に、ようやくありすの動きは止まり、ポロリとはくろーけんを取り落とした。 ========== 「ゆ゛っ…ゆ゛げっ…ゆ゛っ…ゆふふ……」 二本の枝が刺さったまま、しんぐるれいむが、壊れた呻き声を上げ続ける。 「ぱちぇ……ぱちぇぇ……」 「ゆうう……ありすおねえさん……」 ずっと泣き続けているありすに、若まりさがそっと寄り添い、頬を押しつける。 「れいむのおちびちゃん達…もう大丈夫だよ…ぜんぶ…おわったからね…」 「ゆぅぅ……おきゃあしゃん……」「うー! ぷっでぃーん♪ たべたいんだど~♪」 「ゆ…そうだね…おうちに戻ったら、ごはんさん、むーしゃむーしゃ、しよう…ねぇ…!」 赤ゆ達をあやしながら、れいむが車窓から外を見やる。 林道は崖沿いの道に差し掛かり、遙か下には広い地面が広がっている。 ゴンッ… 「ゆ?」 何か硬い物が床を叩く音に、れいむや他のゆっくり達の注意が向く。 音のした場所には、人間の握り拳大の石が転がっていた。 そこに、 ゴンッ… もう一つ、同じくらいの大きさの石が降ってくる。 「上から来るんだぜ! 気をつけるんだぜ!!」 運転士まりさの声に、ゆっくり達が一斉に上を見上げると、ちょうど三つ目の石が落ちてくるところだった。 (え……?) 降ってくる石を見ていたありすの目が、視界の下端、床の方に何か動くものを捉えた。 次の瞬間、ありすの体が何かに強く押され、バランスを崩したアリスの体がコロコロと、車内を転がる。 崖下を望む、ポッカリと開いたゆっくり電車の乗車口へと向かって。 「ゆああぁっ?!」 「ゆっ?!」 ありすが悲鳴を上げるのと、若まりさがありすの窮地に気付いたのはほぼ同時だった。 ありすの体が乗車口から転げ落ち、崖下へ向けて一直線に落ちて行く。 だが、落下はすぐに止まる。 「ゆ…ぎぎぎ……!」 間一髪、若まりさが飛びついて、ありすの髪を咥えて落下を阻止していた。 しかし、成体になり立てで、まだ小さい若まりさの体では、ありすの体を支えきることはできない。 若まりさの体も、ずりずりと乗車口の外に向けて引きずられ、コロンと落下する。 「まりさあぁぁ?!」 「ゆうぅぅ~?!」 しかし、またも落下は阻止。 今度はつがいれいむが、若まりさの髪を、痴ゆんれいむが、つがいれいむの髪を咥えて支えていた。 それでも、まだ危機が去ったわけではない。 「「ゆーえす! ゆーえす!」」 二匹のれいむが、若まりさとありすの体を引き揚げようとするが、仮にも成体二匹の重量。 一気にひっぱりあげられる物でもない。 そして、新たな破滅の綻びが生まれた。 ビリ 「ゆぎっ?!」 綱引きの綱の一番弱い部分、若まりさのまだ弱い頭皮がわずかに破れた。 「まりさ…?」 「だ、だいじょうぶだよ! ありすおねえさん! すぐに助けるからね!」 ビリ ビリ 「ぎっ!!」 「ゆ? ゆあぁぁ?! ま、まりさのあたまが破れちゃうよおぉ!!」 気付いたつがいれいむが、後ろから叫ぶ。 「…! まりさ! ありすを離しなさい! このままじゃ、ふたりとも死んでしまうわ!」 「ゆうう! やだああぁぁ!! まりさはありすおねえさんを守るんだぁぁ!」 「ま、まり…さ……」 「まりさは、ありすおねえさんとゆっくりしたいよぉぉ!! ずっといっしょにゆっくりしてほしいよぉぉ!!」 「………まりさ………ありがとう……ゆっくりしていってね…」 「ゆゆっ? ゆぴゃあっ?!」 突然、若まりさの片目に何かが飛び込み、驚いて咥えていたありすの髪を思わず離してしまう。 「ゆ…ゆああぁぁ!!! ありずおねえざあぁん!!!!」 若まりさが、無事な方の目を下方に向ける。 その瞬間には、ありすの体はまだすぐそこに浮いていた。 ただし、もはや若まりさからは絶対に届かない距離だが。 そこで、ありすは、にっこりと笑っていた。 ニュルリとした精子餡が滴るぺにぺにを、若まりさの顔に向けておっ勃てたまま。 「あら、失礼♪ ありすったら、とんだいなかものね!」 ありすの笑顔はすぐに小さくなって行き、やがて崖下へと消え去り見えなくなった。 ========== 「ゆうぅぅ…! ゆうぅぅ…!」 「どうしてぇ…どうしてありすが死ななきゃいけないのぉ…もう殺ゆん鬼は倒したのにぃ…」 「おきゃあしゃん…」「うー?」 「………」 若まりさがすすり泣き、つがいれいむも、赤ゆ達に擦り寄られながら涙を流す。 痴ゆんれいむは何も言わず、運転士まりさは、何も考えないようにしているのか、前を見据えたまま電車を操る事に専念している。 「…ゆっ! れいむ、いい事考えたよ!」 「「「ゆ?」」」 痴ゆんれいむが唐突に、そう宣言し、他のゆっくり達が疑問の声を出す。 「ゆ…れいむ…おねーさん…?」 ニコニコと笑いながら近づいてきた痴ゆんれいむに痴ゆんをされた記憶が蘇り、若まりさが顔を引きつらせる。 そのれいむの背中、若まりさからは死角にあったものを見て、つがいれいむが直感にまかせて叫ぶ。 「まりさ、逃げてぇぇっ!!」 「ゆ……?」 つがいれいむの叫びが届いた時には、痴ゆんれいむが隠し持っていたはくろーけんが、若まりさの口から背中までを貫いていた。 「ゆ……なん…で…ゆ…?」 ゴボリ、と若まりさの口から餡子が漏れ、体が痙攣を始める。 「ゆ゛っ…ゆ゛っ…ゆ゛っ……ありず…おねえ…ざん……ごべんな…ざい…………」 「どおおおじでごんなごどずるのおぉぉ!?!?」 「なにするんだぜぇぇ?! でいぶぅぅぅ!?!?」 痙攣が止まった若まりさの体から、はくろーけんを抜いた痴ゆんれいむに向けて、つがいれいむと運転士まりさが叫ぶ。 「ゆっ! このまま帰ったら、れいむは痴ゆんの罪で捕まって群れを追放されちゃうんだよ! でも、れいむひとりしか帰らなかったら、れいむは無罪だよ! かんっぺきっな作戦だね! ゆっくりりかいしてね!」 「このげずうぅぅ!! ゆっぐりじでないげずは、ゆっぐりじないでさっさどじねえぇ!!」 「死ぬのはれいむの方だよ!」 はくろーけんを咥えて突進してきた痴ゆんれいむに対して、つがいれいむは身を捩って交わす。 頬を掠めたはくろーけんが、つがいれいむの饅頭皮を切り裂く。 痛みに怯んだ隙を逃さず、痴ゆんれいむが体当たりをしかけ、弾き飛ばされたつがいれいむは電車の壁にぶつかって、餡子を吐く。 「ゆぶぶ…!」 「れいむ! これを使うんだぜ!」 運転士まりさが自分の帽子から枝を取りだし、つがいれいむに向けて放り投げる。 枝を拾ったつがいれいむは、殺気の籠もった目で痴ゆんれいむを見据える。 「おお、こわいこわい! こわいから、れいむは赤ちゃんから殺すことにするよ!」 「ゆ?! ゆあああぁ?! やべでえぇぇ!!」 「ゆんにゃあぁぁ! きょないでえぇぇ!! おきゃあしゃあん!! たしゅけちぇぇ!!」 「うー…」 つがいれいむが飛びかかるより先に、痴ゆんれいむは赤ゆ達のすぐ隣まで跳ね、一匹の赤れいむにはくろーけんの切っ先を向ける。 「ゆふふ! れいむの赤ちゃんはとってもゆっくりできるね! れいむ、赤ちゃん助けたい? 助けたければどうすればいいか、ゆっくりりかいしてね!」 「れいむ! だめなんだんぜ! れいむはきっとみんな殺すのぜ! 言うことを聞いたらゆっくりできなくなっちゃうんだぜ!」 「うるさいよ! まりさ! まりさは群れの近くに着くまでは殺さないであげるよ! だから大人しく運転しててね!」 「ゆ…ゆぅぅ………」 つがいれいむが悔しげに歯を食いしばるが、すぐに枝を放り捨てる。 「ゆぷぷ! じゃあ、れいむから殺してあげるから、ゆっくりとこっちにきてね! そうしたら、赤ちゃんだけは助けてあげるよ! ほんとだよ! れいむはうそつかないよ!」 「おきゃあじゃああん!! きょわいよぉぉ!! おねいちゃああん!!」 「うー…なんだがこばらがへってきたんだどぉ……そうだどー! おやつのじかんにするどぉ~♪」 「ゆ?」 ========== 何? 何がおきたの? どおおして… 痴ゆんれいむは困惑していた。 赤ゆが生意気にも噛み付こうと飛び掛ってきたので、もみあげで叩き落した…はずだった。 だが、次の瞬間、自分の体に激痛が走っていた。 「ゆ゛っ…ゆがあああっ?! いだあいいっ!! ゆぎいぃっ!! どぼじでえぇっ!?」 痛い 痛い 痛い 頭が痛い おめめが痛い 何? 何がおきたの? どおおして… つがいれいむは困惑していた。 れいむの赤ちゃんが、あのれいむに飛び掛ろうとしていた。 制止の声すら間に合わず、れいむのもみあげが動き、赤ちゃんを叩こうとする。 だが、次の瞬間、あのれいむの頭がもみあげごとゴソッと欠けていた。 右のほっぺから、右目の中心を通って、頭頂部やや右側まで。 何かで抉り取ったように、無くなっていた。 「うー!!」 むしゃむしゃと何かを咀嚼する音が聞こえる。 それからまた、痴ゆんれいむの頭が、更にゴッソリと欠けた。 「ゆ゛がっ…ゆ゛ががっ…でい…ぶは…じぬ…もんが……じにだぐ……な………」 「うー♪ …うー? なんだか、あんまりおいしくないんだどー…こんなものはぽいっするどー!」 赤れいむが、半分ぐらいに減った痴ゆんれいむを電車の外に投げ捨てた。 そして、くるりと向きを変え、もう一匹の赤れいむに顔を向ける。 「うー♪ こっちのほうがおいしそうなんだどー! えれがんとなおぜうさまのおやつにふさわしいんだどー!」 「ゆぅ…? おねい…ちゃん…?」 「ゆぴいぃぃいぃっ?! おねいちゃあんっ! れいみゅいちゃいよぉぉ! はなちちぇぇ! どうちてこんにゃゆぎいぃっ?!」 「うー♪うー♪」 「お、おちびちゃん! やめてあげてね! いもうとのおちびちゃんがいたがってるでしょおぉ!!」 赤れいむが赤れいむに噛み付き、ズゾゾゾ…と中の餡子を吸っている。 赤れいむの凶行を止めようと、つがいれいむがリボンに食いついて引っ張るが、 赤れいむの小さな体はびくともせず、リボンだけがすっぽ抜けて髪から外れた。 「「…ゆ……? れ、れ、れみりゃだああぁぁぁ!?!?」」 つがいれいむと運転士まりさが同時に叫ぶ。 飾りがなくなり、「れいむである」認識が消えると同時に、ゆっくりの餡子脳は認識の更新を始めた。 水色の髪、赤い瞳、鋭い牙、二枚の羽。 トレードマークの帽子こそないが、それがれみりゃだと認識するには十分だった。 「ゆやあぁぁ…!? ゆびっ…?! だじゅげ…おきゃあじゃあゆびゅっ? …ゆびゅっ…ゆびゅっ……もっ…ゆ…」 「うー♪ さっぱりあまあまでおいしいんだどー!」 成体の胴なしれみりゃに中身を吸い尽くされ、赤れいむはしわしわの皮だけに成り果てた。 「れいぶのがわいいおぢびぢゃんがああぁぁ!!」 「ど、どおじで、れみりゃがいるんだぜえぇぇ?!」 「このごみはいらないんだどー! ぽいっなんだどー!」 そう言って、れみりゃが赤れいむの皮を電車の外にポイ捨てする。 「あああがぢゃああん!! よぐもれいぶのぎゃばいいおぢびぢゃんをぉぉ!!」 捕食種への恐怖も忘れ、れいむがれみりゃに突進するが、れみりゃはパタパタと羽ばたいて軽く突進を交わす。 勢い余ったれいむはゴロゴロと転がり、隅に放置されていたしんぐるれいむにぶつかった。 「ゆべしっ!?」 「ゆげ…」 「おぜうさまは、まだはらはちぶんめなんだどー! おまえもくわれるんだどー!」 れいむの背後から、れみりゃが迫る。 「ゆっ…! ゆっ…! ゆゆっ!?」 「いただきまずなんだ… プスッ うぎゃあああぁぁ!!」 れみりゃの悲鳴が上がる。 れいむが、しんぐるれいむに刺さっていた、つがいのまりさの枝を見つけて引き抜き、 振り向き様にれみりゃの頬を突き刺したのだ。 だが、十分に狙いを定める余裕がなかったため、急所から大きく逸れる。 「うがー! おぜうざまのかりずまなびぼうに、なにずるんだどー!!」 ベシッ! ベシッ! ベシッ! 「ゆぶっ! ゆぶっ! ゆぶっ!」 怒り狂ったれみりゃが、左右に羽を振り回し、ベシベシとれいむの頬を打つ。 最初のビンタで枝を取り落としてしまったれいむは、なすがままに往復ビンタの洗礼を受け、みるみる内に頬が腫れ上がる。 「ゆひぃ…! ゆひいぃぃ…!」 「おとなしくしないから、いたいめにあうんだどー!」 戦意を喪失し、しーしーを漏らしながら震えているれいむの姿に満足したのか、れみりゃはいつもの笑顔にもどる。 そして、れいむの頭上へと上昇し、あんぐりと口を開けた。 「うー! いただきま 「だぜえぇっ!!!」 ぶぎゃっ!!」 まりさが、ゆっくり電車を岩にぶつけ、電車がガクンと揺れる。 その衝撃でれいむの体が転がり、れいむめがけて急降下したれみりゃは、顔面から床に激突した。 「うー!? うー!? いだいんだどー! れみり゛ゃは ごーまがんのおぜうざまなんだどー!?」 無様に大声を上げて泣き喚くえれがんとなお嬢様。 「れいむぅ! なにやってるんだぜぇ!? いまのうちにれみりゃを倒すんだぜぇ!」 「ゆぅ…ゆぅ……」 運転士まりさの叱咤が飛ぶが、れいむのあんよはブルブルと震えて言うことを聞かない。 「はやぐ! はやぐずるんだぜぇ! 永遠にゆっくりしちゃったおちびちゃんの仇を取るんだぜぇ!」 「ゆ…だめだよぉ…れいむにはむりだよぅぅ…おぢびぢゃん…ごべんねぇ…おがあざんをゆるじでねぇ…」 …その時、れいむのもみあげが、ピクリと動いた。 「うー!! もうゆるざないんだどー!! おぜうさまはおこったんだどー!!」 ようやく泣きやんだれみりゃが、恐怖に怯えるだけのれいむの方を振り向き、ゆっくりと近づいて行く。 もう不意打ちを食らわないように、じわじわと距離を詰め、そして、れいむの目の前で、口を開く。 「うっぎゃああああぁっ!?」 鳴り響いたのは、れみりゃの悲鳴。 驚きに目を見開くれいむの目に映るのは、涙を流して悲鳴を上げるれみりゃと、その後ろにいる、しんぐるれいむの姿。 先程まで、ピクリとも動かなかったしんぐるれいむが、背を向けたれみりゃの羽に噛み付いていたのだった。 「はなぜー! はなぜー!! うぎゃあぁ!!」 「…れいむは……れいむは…しんぐるまざーで…かわいそうなんだよ…」 羽が千切れそうになる痛みにも構わず、れみりゃが体を振ってしんぐるれいむを引き剥がそうとするが、 半死半生のしんぐるれいむの何処にそれだけの力があったのか、その歯がしっかりとれみりゃの羽に食い込んだまま、剥がれない。 「うがああぁぁっ!! ちょおじにのるなあぁ!!」 「かわいいおちびちゃんまで…しんじゃって…とっても、とっても…かわいそうなんだから…」 れみりゃが、電車の壁に、しんぐるれいむの体を叩きつける。 仲間達に付けられた傷口から餡子がボロボロと零れるが、それでも、れいむはれみりゃの羽を離さない。 「いだいんだどぉー!! やべるんだどぉー!!」 「優しくしないと…だめ…なんだよっ!!」 れみりゃが、無我夢中で更に激しく暴れる。少しずつ羽が千切れてきている事にすら気付いていない。 一層激しく叩きつけられたしんぐるれいむは、片目が潰れ、体内の餡子を半分近く失って縮んでいた。 それでも、れいむはれみりゃの羽を離さない。 「ざぐやー! さぐやー! おぜうざまをだずげるんだどー! どうじでだずげでぐれないんだどー?!」 「だがら…かわいそうなれいむに…ひどいごどずるれみりゃはあぁ…!」 戦意喪失したれみりゃを引きずりながら、しんぐるれいむが、ずりずりと這う。 そして 「ゆっぐりじないでさっさどじねええぇぇ!!!!!」 れみりゃを道連れに乗車口から転がり落ちた。 「うぎゃああぁぁっ!! ざぐやあぁぁーーっ!!」 疾走する電車から落下したれみりゃは、まだ羽に噛み付いているれいむのせいで飛ぶ事もできず、 れいむともつれあったまま堅い地面に激突した後、勢いよく転がり、 木や岩に体を打ち付け、餡子と肉まんの具を撒き散らしながら、瞬く間に見えなくなって行った… ========== ガタゴト… ガタゴト… 夕日に赤く染まり始めた山道を、ゆっくり電車が揺れて行く。 じっと前を見据えてゆっくり電車を操る運転士まりさ。 その横で、れいむがまりさにもたれかかってた。 「ゆうぅぅ…まりさ…みんな死んじゃったよぉ…みんな…とっても…ゆっくりしてたのにぃ…ゆっくりできないよぉ…」 「…れいむ…ゆっくりできないけど…それでもまりさ達はゆっくりしなきゃいけないのぜ… じゃないと…みんなもゆっくりできないんだぜ…」 「………ゆん……」 吹き付ける風に、れいむの赤いリボンがたなびき、まりさの体をくすぐる。 ……… 「………れい…む…?」 「ゆ?」 「…れいむ達の…おりぼんさんは…自分でつけられるのかぜ…?」 「れいむ達のおりぼんさんは…自分ではつけられないよ。誰かにつけてもらわないとだよ」 「じゃあ……あのれみりゃに…れいむの赤ちゃんのおりぼんさんをつけたのは……誰なのぜ…?」 「………」 二匹の言葉が止まる。 いや、言葉だけではなく、体の動きも瞬きすらも止めて、互いに互いを見つめていた。 一瞬たりとも、相手の動きを見逃さないとするかのように。 そして、張りつめた空気を破るかのように、一陣の風が吹いた。 「!? ゆあああぁぁっ?! ばりざのおぼうじがああぁぁーーーーーーー 木のバッジがついた帽子が風に舞い、まりさの視線は帽子を追った。 ========== 「ばりざのおぼうじがああぁぁーーーーーーー ぁぁぁ……あ~あ、行っちゃった…まあ、いいか。十分楽しませてもらったし」 まりさが地面に足を降ろして、すぃーを徐々に減速させて止める。 「ふう~…しっかし、下り坂とは言え、この大きさだと足だけで操るのはきっついなぁ… いや、俺が特別な訓練を受けていなければ無理だったよな、実際のとこ」 「ま、まり…さ……? どこ……行ったの……? お兄さん……だれ……?」 カタカタと震えるれいむに、"まりさ"は満面の笑みを向けた。 「やあ。僕は ========== 「ゆうぅ…おそいのじぇ…」 沈みかけた夕日の中、群れの広場でゆっくり電車の帰りを待つ子まりさズ。 ゆっくり電車のお迎えも、彼らの仕事。 「ゆっ! きたよ!」 赤い太陽に照らされながら、ガタゴトと、ゆっくり電車がやってくる。 「ゆゆっ! おかえりなさ……?」 ガランとしたゆっくり電車に乗るのは一匹のゆっくりのみ。 「ゆ~? どうして、れいむおねーさんが運転してるのじぇ?」 「ゆぅぅ…みんなはどうしたの?」 「ゆ? まりさ、おそらを飛んでるみた~い♪」 れいむの腕が、子まりさズを抱え上げた。 「終点『ゆっくりプレイス』だよ~ 『ゆっくりプレイス』だよ~ …ゆっくり楽しませてね?」 おわり ========== あとがき というわけで、ゆっくりの群れに電車を与えて、 よくあるラッシュの風景+よくある暴走特急の風景で「ミニ社会化」としてみたのですが、 こんなテーマ解釈でよろしかったでしょうか? 後半部分は「ベタなパニック(サスペンス?)物風味」を書いてみたかったのですが、自分の力量ではどうにも。 深刻な破綻箇所とかあるかもしれませんが、お手柔らかにお願いします。 餡子ンペ出展は作者名が必要との事なので、これを機に「お説教されたいあき」と名乗らせていただきます。 以下は、虐待成分が少なかったとお嘆きの貴兄と私へのささやかなオマケ、兼、わかりにくい?ネタを補うための何かです。 ========== 『れいむの記憶』 「……! ……!」 「さあ、れいむ。これを食べてごらん。楽しいモノが見られるかもしれないよ?」 れいむが、憎しみに満ちた目を男に向ける。 男に飛びかかろうとするが、男の手にしっかりと頭を押さえつけられ、体がひしゃげるのみ。 ガムテープで塞がれた口からは、くぐもった呪詛の声がわずかに漏れ聞こえてくる。 男が、容器の中でマーブル模様を描く餡子とクリームをスプーンで掬い取り、れいむの頭に開けた切れ目から差し入れた。 れいむの中に何かが流れ込んでくる。 『れみりゃだああぁぁぁ!!』 『だずげでええぇぇ!!』 『どおぉじで、れみりゃがいるのおおぉぉっ!?』 陽光が降り注ぐゆっくりプレイス。 れいむの目に映るのは、逃げ惑う仲間達の姿。聞こえるのは、悲鳴。 『うー♪ あまあまたべちゃうどー!!』 『ゆぎゃああぁ!! た、たべないで! れいむをたべないでえぇぇ!!』 れいむの口から悲鳴が発せられる。 眼前にれみりゃの牙が迫り、次の瞬間、れいむの頭に激痛が走る。 『でいむー!? わがらないよー!!』 『ゆ゛っ…もっと…ゆっぐり……じだがっだ……』 ブツンッ 不意に、テレビの電源が落ちたように、その光景と音が消え、別の何かがれいむの中に流れ込んでくる。 『ゆぇぇぇん!! おきゃあしゃあん!! どきょー!? まりしゃ、きょわいよおぉぉ!!』 れいむのおちびちゃんの泣き声。 (おちびちゃん!どこにいるの?!おかあさんはここだよ!) 叫ぼうとするが、れいむの口から漏れるのは、おちびちゃんの泣き声だけ。 『おちび! はやくにげるんだぜ! ここにいたら、れみりゃに食べられちゃうんだぜぇ!! まりさのお帽子の中に隠れるんだぜっ!!』 お帽子に木のバッジをつけたまりさが、れいむを咥えてお帽子の中に隠す。 ぐにゃり そこで、視界が歪み、目の前の光景が消える。 そしてまた、流れ込む。 餡子の持ち主の記憶が。 『ゆゆっ? なんだかひろばのほうがにぎやかだね! みんな、何してるのかな!』 『ゆっ! ゆっくり見に行こうね!』 『やあ! ゆっくりしていってね!』 れいむの目の前に男が立ちはだかる。 『ゆっ? ゆっくりしていってね! お兄さんはゆっくりできるひと?』 『全然できない人だよ』 風を切る音と共に、何かを握った男の腕が動いた。 ブツンッ 『ゆぅぅ…にゃんだか、ゆっくちできにゃい こえがしゅるよ…れいみゅ、おきちぇね!』 れいむが話し掛ける先には、石の影ですやすやと寝ているれいむのおちびちゃん。 『ゆぴー…れいみゅ、もうちゃべられにゃいよ…』 『どうちて おきにゃいのぉぉ? ゆ?』 頭上を遮った影に、上を仰ぎ見ると、れみりゃと男がこちらを覗き込んでいた。 『ゆええぇぇ…! れいみゅのおりぼんしゃん、かえちてー!』 『うー! おぼうじとらないでほしいんだどー!』 『我慢しろ。あとでぷっでぃーん食わせてやるから』 『うー…』 男が涙目のれみりゃの髪に赤いリボンを結ぶ。 『ほら、できたぞ。ソイツは食っとけ。皮も残さず食えよ』 『うー! おどりぐいだどー!』 『ゆにゃああぁぁ?! れいみゅー! おきちぇー! たちゅけちぇー! いちゃああいっ!』 『ほら、こぼすな、バカ肉まん。それ食ったら後は休んでていいぞ。昼寝でもしてろ』 『うー! おぜうさまはしぇすたのじかんだどー♪』 『ゆぴっ! ゆぴいぃぃっ!! おぎゃあぢゃあぁ…あ…ぁっ…!』 赤れれみいりむゃの牙が食い込み、れいむの体はグシャグシャに砕かれながら闇に飲み込まれていった。 ブツンッ 男はすぃーの上に散らばったゆっくりの中身もれいむの頭に流し込む。 『むきゅううぅ!! いたいいたいいたいぃぃ!!! はなしてぇぇ!』 霧に閉ざされた白い闇の中で、ガリガリとあんよが削れて行く感覚が流れこんでくる。 『むぎょぉぉっ?!?! たすけてえぇぇっ!!! お』 兄さあああんっ!! むきゅ… お兄さん…?! お兄さんのおてて…? お兄さんとおんなじ…強くて大きい…おてて!! 伝えなきゃ みんなに伝えなきゃ ぱちぇは"おさ"よ みんなを守らなきゃいけないのよ その思考と繋がるようにして、あるゆっくりの顔が脳裏に浮かぶ … "ぱちゅりー!" … …! 違う…! ぱちぇは"ぱちゅりー"じゃない!! ぱちぇは…ぱちぇは"おさ"よぉ!! 霧に閉ざされていた視界が開け、ありす達の顔が映る。 ごべんなざいぃぃ! ぱちぇが間違ってたのおぉ…! 犯"人"は…犯人は人間さんなのよぉ…! れいむじゃないのよぉ…! 人間さんはおててがあるから、離れたところからでも私達を殺せるのよぉ…! 涙を流しながら、何かを叫んでいるありす達の後ろで、アイツがクスリと笑いを浮かべた。 おまえがっ! おまえがぁぁ…!! ブツンッ 『ゆふふふ…』 俯いて泣いているゆっくり達をどこか達観した気分で眺めながら、れいむの口から笑いが漏れる。 あんよとおなかがズキズキと痛むが、何故だかそれがどうでもいい事のように思える。 その視界の中で、石が飛び上がり、重力に引かれて落ちる。 ゴンッ… 石が床に落ちると同時に、もう一つ石が飛び上がる。 あるゆっくりの背中越しに。 三つ目の石が飛び上がった時、そのゆっくりが叫んだ。 『上から来るんだぜ! 気をつけるんだぜ!!』 どうでもいいよ… ぐにゃり 『ゆええぇ…うんてんちしゃん…まりしゃたちもちんじゃうのぉ…?』 頭の上からおちびちゃんの泣き声が聞こえる。 『大丈夫なんだぜ! おちび! あそこにまりさのでんしゃがあるんだぜ! まりさのでんしゃなら、れみりゃでも絶対においつけないのぜ! ゆ?』 『やあ、まりさ』 『ゆっ! 人間さん! 助けてほしいんだぜ! 悪いれみりゃがまりさ達を…』 (だめえええぇぇっ!!! にげでええぇぇっ!!!) 『まりさが、あのすぃーを運転しているのかい?』 『そうなんだぜ! まりさは、うんてんしなんだぜ…ゆあっ?! ば、ばりざのおぼうじ! とらないでなんだぜっ?! ばっじさん!! ばりざのばっじさんがえぜぇぇぇ!! ゆぎぴぃっ?!』 れいむのおなかに男のつま先が食い込み、頭の上にいたれいむのおちびちゃんと一緒に地面に転がった。 『ふんふふん~♪ 運転手は僕だ~死体は君だ~♪』 ピーラーを握った男の手がれいむの肌を撫で、肌色の饅頭肌の切れ端が次々に舞い落ちる。 『ゆびいいいっっ!!! どおじでっ!! どおじでごんなごどずるんだぜぇぇ!! ゆびいぃっ!! いやだあああぁぁ!! ばりざ、じにだぐないいぃぃ! うんてんじになっだのにぃぃ!! ばりざ、いっばいがんばっだのにぃぃぃ!!! じにだぐないよおぉぉ!!!!』 『はいはい、ゆっくりゆっくり』 ブツンッ 『…だのにぃぃぃ!!! じにだぐないよおぉぉ!!!!』 グシャッ グシャッ グシャッ 『ゆっ…ゆわっ…ゆわっ……』 『んー、どうしたのかなー? おちびまりしゃちゃあん? そんなに、ちーちー漏らしちゃってぇ。 大丈夫でちゅよー? まりしゃちゃんのちっちゃなお帽子さんは取らないからねー だからね? 別に用はないから…』 頭上に男の足が見える。 それは、れいむのおちびちゃんが見ている光景か、それとも 「『ゆっくり死んでね」』 『ゆやああぁぁぁ!!!! おきゃあしゃああああああん!!!!!!!!』 ブツンッ…! ……… 「さあ、───。これを食べてごらん。楽しいモノが見られるかもしれないよ?」 これまでに書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 229 たくすぃー ふたば系ゆっくりいじめ 344 ゆっくりで漬け物 ふたば系ゆっくりいじめ 404 ただ一つの ふたば系ゆっくりいじめ 471 えーき様とお義母様 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 社会崩壊とか、笑えない -- 2016-03-12 00 00 01 人間の歌は踊る駄目人間かな -- 2014-07-22 16 00 55 ヤバイ、これはアカン -- 2014-07-10 17 58 14 こうしてみるとちゃんと伏線は張ってあるんだよな 前半の「ぱちゅりー! どうしたんだぜ!」とか ただ恐怖に震えて寄り添い合う母と子の部分で赤れいむの一匹がれみりゃのセリフだったとか 長ぱちゅりーが死ぬ時の(…犯人……は…………)とか -- 2013-12-12 05 24 35 少し変なところもあったが凄い面白くて素直に関心した。 -- 2012-07-19 18 59 53 痴ゆんとか電車描写にワロタw -- 2012-02-20 04 48 34 明らかにおかしいだろ!と思うところでも気づかないのは読んでて楽しいな。 うーうー言ってるの見るたびに笑っちゃったよ れみりゃだけかと思ってたから人間登場は驚いた ってか下り坂だし進むのは足だけでどうにかなるとしても曲がりはどうしてたんだw ぱちゅりーが人間の関与が分かったのは手の感触、誰が人間か分かったのはいつもなら「おさ」と呼ぶのに「ぱちゅりー」って言ったから? -- 2011-05-07 16 10 15 ↓別に推理しろなんて誰も頼んで無いし、読者にも推理させる本格ミステリーとして作った作品とも書いていない。 勝手に推理ごっこ始めといて、何を人様にミステリーの十戒とかほざいてるんだい? -- 2011-01-12 19 22 54 人間がどうやってハンドルもないすぃーを運転してたんだ? 最後になって特別な訓練を受けていましたとか言われても推理できないよ 特別な技能というよりかはもう超能力レベルだし あとぱちゅりーの犯人が分かった理由が瀕死の自分を見て笑ってたからって 言われても、その描写も無かったし推理のしようがないよ ミステリーの十戒だか二十戒だかにふれるんじゃないのこれ -- 2010-12-12 02 17 52 まさかのどんでん返しでびっくりした -- 2010-12-05 00 06 25 面白かったけど… 人間とゆっくりじゃ大きさ全然違うだろ、気づけよww -- 2010-10-14 17 37 12 面白かった! れみりゃのせいかと思ってたけど違かったのね -- 2010-09-17 09 15 21 普通に面白かった。 -- 2010-07-04 02 36 36 ラストの鬼意山はパチュリーの元飼い主? -- 2010-06-11 22 39 54
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ゆっくり夢幻 第一夜 こんな夢を見た。 腕組をして枕もとに座っていると、あおむきに寝たゆっくりれいむが、静かな声でゆっくり死ぬよと言う。 れいむは赤いリボンを枕に敷いて、輪郭のやわらかな饅頭顔をその中に横たえている。 真っ白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、口の中は若干赤い。 とうてい死にそうには見えない。しかしれいむは静かな声で、もう死ぬよとはっきり言った。 自分もたしかにこれは死ぬなと思った。 そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上から覗き込むようにして聞いてみた。 死んじゃうよ、と言いながら、れいむはぱっちりと眼を開けた。 勝気なうるおいのある眼で、長いまつげに包まれた中は、ただ一面に真黒であった。 その真黒なひとみの奥に、自分の姿が鮮やかに浮かんでいる。 自分は透きとおるほど深く見えるこの黒眼のつやを眺めて、これでも死ぬのかと思った。 それで、ねんごろに枕のそばへ口を付けて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。 するとれいむは黒い眼を偉そうにみはったまま、やっぱり静かな声で、ゆっくりしたけっかがこれだよと云った。 じゃ、私の顔が見えるかいと一心に聞くと、ゆっくりみえているよと、反り返ってみせた。 自分は黙って、顔を枕から離した。腕組をしながら、どうしても死ぬのかなと思った。 しばらくして、れいむがまたこう云った。 「しんだられいむをうめてね! 大きなしんじゅ貝であなをほってね! そしておそらから落ちてくる星のかけらをおはかにおいてね! そしておはかのそばにゆっくりまっていてね! れいむはあいに来るよ!」 自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。 「お日さまがでて、お日さまがしずんで、それからお日さまが出て、またしずんで―― あかい日があっちからこっちへ、あっちからこっちへとおちていくうちに―― おにいさんはゆっくりまてる人?」 自分は黙ってうなずいた。れいむは静かな調子を一段張り上げて、 「ひゃくねん待っていてね!」と思い切った声で言った。 「ひゃくねんおはかでまっていてね! ゆっくりあいにくるよ!」 自分はただ待っていると答えた。 すると、黒いひとみのなかに鮮やかに見えた自分の姿が、ぼうっと崩れて来た。 静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、れいむの眼がぱちりと閉じた。 長いまつげの間から涙が頬へ垂れた。――もう死んでいた。 自分はそれから庭へ下りて、真珠貝で穴を掘った。真珠貝は大きな滑かな縁の鋭どい貝であった。 土をすくうたびに、貝の裏に月の光が差してきらきらした。湿った土の匂いもした。 穴はしばらくして掘れた。れいむをその中に入れた。 そうして柔らかい土を、上からそっと掛けた。掛けるたびに真珠貝の裏に月の光が差した。 それから星の破片の落ちたのを拾って来て、かろく土の上へ乗せた。星の破片は丸かった。 長い間大空を落ちている間に、角が取れて滑らかになったんだろうと思った。 抱き上げて土の上へ置くうちに、自分の胸と手が少し暖くなった。 自分は苔の上に坐った。 これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら、腕組をして、丸い墓石を眺めていた。 そのうちに、れいむの言った通り日が東から出た。大きな赤い日であった。 それがまたれいむの云った通り、やがて西へ落ちた。赤いまんまでのっと落ちて行った。 一つと自分は勘定した。 しばらくするとまた唐紅(からくれない)の天道がのそりと上って来た。 そうして黙って沈んでしまった。二つとまた勘定した。 自分はこういう風に一つ二つと勘定して行くうちに、赤い日をいくつ見たか分らない。 勘定しても、勘定しても、しつくせないほど赤い日が頭の上を通り越して行った。 それでも百年がまだ来ない。 しまいには、苔の生えた丸い石を眺めて、自分はれいむにだまされたのではなかろうかと思い出した。 すると石の下から斜(はす)に自分の方へ向いて青い茎が伸びて来た。 見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て留まった。 と思うと、すらりと揺らぐ茎のいただきに、心もち首をかたむけていた細長い一輪のつぼみが、ふっくらとはなびらを開いた。 真ん丸な赤ん坊れいむが鼻の先でゆらゆらと揺れた。 そこへはるかの上から、ぽたりと露が落ちたので、れいむは自分の重みでふらふらと動いた。 自分は首を前へ出して冷たい露のしたたる、丸いれいむを齧った。 自分がれいむから顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、あかつきの星がたった一つ瞬いていた。 「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。 第三夜 こんな夢を見た。 赤ん坊まりさをおぶってる。たしかにまりさの子である。 ただ不思議な事にはいつの間にか眼が潰れて、盲饅頭になっている。 まりさが赤ちゃんの眼はいつ潰れたのと聞くと、ずっとむかしだよと答えた。 声は子供の声に相違ないが、言葉つきはまるで大人である。しかも対等だ。 左右は青田である。道は細い。鷺の影が時々闇に差す。 「たんぼへかかったね!!!」と背中で云った。 「ゆっ、どうしてわかるの?」と顔をうしろへ振り向けるようにして聞いたら、 「だってさぎさんが鳴いたよ!!!」と答えた。 すると鷺がはたして二声ほど鳴いた。 まりさは我が子ながら少し怖くなった。こんなものを背負っていては、この先どうなるか分からない。 どこかにゆっくり捨てようと向うを見ると闇の中に大きな森が見えた。 あそこならばと考え出す途端に、背中で、 「ゆゆん」と云う声がした。 「わらわないでね!」 子供は返事をしなかった。ただ 「おとーしゃん、まりちゃはおもい?」と聞いた。 「おもくないよ!」と答えると 「ゆっくりおもくなるよ!!!」と云った。 まりさは黙って森を目じるしにはねて行った。田の中の道が不規則にうねってなかなか思うように出られない。 しばらくすると二またになった。まりさは股の根に立って、ちょっと休んだ。 「いちがゆっくちたっているはずだよ!」と子ゆっくりが云った。 なるほど八寸角の石が腰ほどの高さに立っている。 表には左り日ケ窪、右堀田原とある。 闇だのに赤い字が明らかに見えた。赤い字はいもりの腹のような色であった。 「ゆっくちひだりへいっちぇね!」と子ゆっくりが命令した。 左を見るとさっきの森が闇の影を、高い空からまりさらの頭の上へなげかけていた。 まりさはちょっと躊躇した。 「えんりょちないでね!!!」と子ゆっくりがまた云った。 まりさは仕方なしに森の方へはね出した。 腹の中では、よくめくらのくせに何でも知ってるなと考えながら一筋道を森へ近づいてくると、背中で、「めきゅらはゆっくりふじゆうだね!」と云った。 「だからおんぶしてあげてるでしょおおおお!」 「ゆっ、おんぶありがちょうね! でもばかにしてりゅね! おやにまでばかにされちゃったよ!!!」 何だかいやになった。ゆっくりしないで森へ捨ててしまおうと思って急いだ。 「もうちょっといくとわかりゅよ!――ちょうどこんなよるだったよ!!!」 と背中でひとりごとのように云っている。 「ゆゆっ? なんのこと?」ときわどい声を出して聞いた。 「なんのことって、しってるでちょ!」と子ゆっくりはあざけるように答えた。 すると何だか知ってるような気がし出した。けれどもはっきりとは分からない。 ただこんな晩であったように思える。そうしてもう少し行けば分かるように思える。 分かっては大変だから、分からないうちに早く捨ててしまって、安心しなくってはならないように思える。 まりさはますます足を早めた。 雨はさっきから降っている。路はだんだん暗くなる。ほとんど夢中である。 ただ背中に小さい子まりさがくっついていて、その子ゆっくりがまりさの過去、現在、未来をことごとく照らして、寸分の事実も洩らさない鏡のように光っている。 しかもそれが自分の子である。そうして盲目である。まりさはたまらなくなった。 「ここだよ、ここだよ! ちょうどその杉のねもとだよ!!!」 雨の中で子ゆっくりの声ははっきり聞こえた。まりさは覚えず留まった。 いつしか森の中へ入っていた。一間ばかり先にある黒いものはたしかに子ゆっくりの云う通り杉の木と見えた。 「おとーしゃん! そのすぎの根のところだったね!!!」 「ゆっ、そうだよ!」と思わず答えてしまった。 「ぶんか五年たつどしだったね!!!」 なるほど文化五年辰年らしく思われた。 「おとーしゃんがまりちゃをころちたのは、いまからちょうどひゃくねんまえだね」 まりさはこの言葉を聞くや否や、今から百年前文化五年の辰年のこんな闇の晩に、この杉の根で、一人の子まりさを殺したと云う自覚が、忽然として頭の中に起った。 まりさはひとごろしだったんだねと始めて気がついた途端に、背中の子まりさが急に石地蔵のように重くなった。 第九夜 魔法の森中が何となくざわつき始めた。 今にもスペカバトルが起こりそうに見える。 焼け出された魔理沙が、夜昼となく、屋敷の周りを暴れまわると、それを夜昼となくアリスがひしめきながら追っかけているような心持ちがする。 それでいて森のうちはしんとして静かである。 巣には若い母れいむと子れいむがいる。父まりさはどこかへ行った。 まりさがどこかへ行ったのは、月の出ていない夜中であった。 巣の中でわらじをはいて、黒い頭巾をかぶって、裏口から出て行った。 その時母れいむのくわえていた雪洞(ぼんぼり)の灯が暗い闇に細長く射して、古い檜を照らした。 父まりさはそれきり帰って来なかった。 母れいむは毎日子れいむに「おとーさんは?」と聞いている。子れいむは何とも云わなかった。 しばらくしてから「あっち」と答えるようになった。 母れいむが「いつかえってくるかな!!!」と聞いてもやはり「あっち」と答えて笑っていた。 その時は母れいむも笑った。そうして「ゆっくりかえってくるよ!!!」と云う言葉を何べんとなく繰り返して教えた。 けれども子供は「ゆっくり」だけを覚えたのみである。 時々は「おとーさんはどこ?」と聞かれて「ゆっくち!」と答える事もあった。 夜になって、あたりが静まると、母れいむはリボンを締め直して、小枝を髪の間へ差して、子れいむを背中へ背負って、そっと巣から出て行く。 母れいむはいつでも素足だった。子れいむはこの饅頭の音を聞きながら母の背中で寝てしまう事もあった。 土塀の続いている涸れ川を西へくだって、だらだら坂を降り尽くすと、大きなイチョウがある。 このイチョウを目じるしに右に切れると、一丁ばかり奥に朱塗りの鳥居がある。 片側は田んぼで、片側は熊笹ばかりの中を鳥居まで来て、石段をぴょんぴょん登ると、暗い神社になる。 鳥居まで来て、それを潜り抜けて二十間ばかり敷石伝いに突き当ると、古い拝殿の前に出る。 ねずみ色に洗い出された賽銭箱の上に、大きな鈴の紐がぶら下がって昼間見ると、その鈴のそばに博麗神社と云う額がかかっている。 博の字が、ゆっくりした書体にできているのが面白い。 そのほかにもいろいろの呪符がある。 たいていは巫女の手にした呪符を、倒した妖怪の名前に添えたのが多い。 たまには帽子を納めたのもある。 鳥居をくぐるとたまに巫女が掃き掃除をしている。 石畳に饅頭肌の音がぴちゃぴちゃする。 それが拝殿の前でやむと、母れいむはまず鈴を鳴らしておいて、すぐにしゃがんでジャンプをする。 たいていはこの時フクロウが急に鳴かなくなる。 それから母れいむは一心不乱にまりさの無事を祈る。 母れいむの考えでは、まりさがゆっくりしたまりさであるから、ゆっくりの神の博麗へ、こうやって是非ない願をかけたら、ゆっくりかなうはずだと一途に思いつめている。 子れいむはよくこの鈴の音で眼をさまして、あたりを見ると真暗だものだから、急に背中で泣き出す事がある。 その時母れいむは、ゆっくりしていってねと叫びながら、背を振ってあやそうとする。 するとうまく泣きやむ事もある。 またますますはげしく泣き立てる事もある。 いずれにしても母れいむは容易に立たない。 一通りまりさの身の上を祈ってしまうと、今度はリボンを解いて、背中の子を前へ廻して、口にくわえて拝殿へのぼって行って、 「あかちゃん、ゆっくりまっていてね!!!」と自分の頬を子供の頬へすりつける。 そうしてリボンを長くして、子れいむを縛っておいて、その片端を拝殿の欄干にくくりつける。 それから二十間の敷石を往ったり来たりぴょんぴょんお百度を踏む。 拝殿にくくりつけられた子れいむは、暗闇の中で、リボンのゆるす限り、広縁の上を這)い廻っている。 そういう時は母れいむにとって、はなはだ楽な夜である。 けれども縛った子れいむにゆんゆん泣かれると、母れいむは気が気でない。 お百度の足が非常に早くなる。大変息が切れる。 仕方のない時は、中途で拝殿へ上がって来て、いろいろすりすりしておいて、またお百度を踏み直す事もある。 こういう風に、幾晩となく母れいむが気を揉んで、夜の目も寝ずに心配していた父まりさは、とくの昔にお兄さんのために虐殺されていたのである。 こんな悲しい話を、夢の中で母から聞いた。 (原案、漱石:夢十夜) ===================================================================== YT 過去作品 その他 エレベーターガール そ その他 変身 そ ゆっくりいじめ系27 幻想鉄道の動物対策 虐 機 霊夢×ゆっくり系2 博麗神社の酒造り 虐 料 その他 諸君私はゆっくりが好きだ そ 美鈴×ゆっくり系2 ほんめーりん×ゆっちゅりー甘甘水責め 虐 そ その他 FireYukkuri そ ゆっくりいじめ系187 終端速度 虐 家 無 永琳×ゆっくり系11 八意永琳のアルティメット・サイエンス 虐 そ ゆっくりいじめ系281 冬眠ゆっくりの子守唄 そ 環 性 家 ゆっくりいじめ系312 乙女よ、森はまだ早い 虐 性 無 ゆっくりいじめ系345 ゆっくり塊魂 虐 魔理沙×ゆっくり系4 ゆっくりの身の程 このSSに感想を付ける
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前編?から ・・・月日は流れ。 さて、そろそろこないだのゆっくりの巣を見て回ってこよう。 まずは5匹の赤ゆを育てていた、れいむとまりさの巣。 季節は繁殖期の春・夏を終えて秋に差し掛かっていた。 本来なら赤ゆは子ゆっくりから成体に近いサイズに成長していてもいい時期で巣立ちをする頃だ。 たくさんの子ゆっくりと同居したまま冬を迎えればそれは一家全滅の危機につながる。 それどころか、今回は赤ゆのまま冬突入という死亡フラグが立っていた。 「そろそろ、おちびちゃんにもかりのしかたをおしえたほうがいいんだぜ!」 「ゆっ、だめだよ!おちびちゃんはまだあかちゃんだよ!」 「みゃみゃー、ごはんまだー?」 「ねぇねぇまりしゃのごはんは?」 「れいみゅたちいつまでおうちにいればいいの?そろそろおちょとであそびたいよ!」 冬越えに備えて大量の食料を貯めないといけないのだが 餌をとってくるのは親まりさばかり、親れいむは赤ちゃんの世話のため巣から出ることができず、ずっと引きこもっていた。 朝から晩まで駆けずり回って採れる餌も親れいむと赤ゆ5匹が食べてしまえば、明日の蓄えすらない。 季節の移り変わりに気づいていない親れいむはともかく、親まりさは焦っていた。 「このままだと冬さんがきて、みんなゆっくりできなくなるよ!れいむもいっしょにごはんあつめてね!」 「なにいってるの!あかちゃんをそだてるのがれいむのしごとだってまりさもいってたでしょ! ごはんをとってくるのはまりさのしごとなんだから、ゆっくりしないでさっさとごはんもってきてね!」 最近はずっとこんな口喧嘩が続いている。 「それなら、まりさがみんなのごはんをあつめてくるよ!」 暗がりから、帽子の先が欠けている子まりさが出てくる。 飾りが欠けていることで親れいむや赤ゆの虐めにあっていたまりさだが、食事量が他の赤ゆよりも少ない割りに 成長抑制飴を食べなかったことで立派な子まりさに成長していた。 「おまえは、そこからでてこないでね!ごきんじょさんに見られたらとおもうとゾッとするよ!」 「ゆぅ~ん・・・」 「ゆっくちできにゃいおねーちゃんは、みんなのうんうんをかたづけるしごちょしててね!」 「こんにゃまりしゃが、かぞくだとおもわれたらみんなゆっくちできにゃいよ!」 「ばぁ~きゃ!ばぁ~きゃ!」 親れいむに合わせて、赤ゆたちも子まりさをキャッキャっと罵倒する。 そんな様子を毎日見てきた親まりさは、ある疑問を感じていた。 親れいむが可愛がっている赤ちゃんたちは、ちっとも大きくならず幼いままだ 逆に、虐められている子まりさはすくすくと大きくなっている いままでは帽子が欠けている子まりさの事を障害のあるゆっくりと思っていたが、実は逆なんじゃないだろうか? その夜、親まりさは決心し 皆が寝静まってから子まりさを巣の外へと連れ出した。 「ゆぅ?おとーしゃんこんなじかんにどうしたの?おそとにでたらまりさおこられちゃうよ」 「ゆっくりきいてねまりさ!おとーさんは働かないれいむにあいそがつきたよ!これからは二人でくらすよ!」 冬はもうそこまで来ている! 子育てと称して働かないれいむや食べてうんうんするだけの赤ゆ達の分まで集めている余裕はもうないのだ。 ぽい~ん、ぽい~んっと元気よく旅立つ2匹。 新しい巣穴は、れいむたちが住んでいる巣穴からさほど遠くない場所に作った。 それでも引きこもっている彼女達がここを見つけることは出来ないだろう。 朝、親まりさがいない事に気づいたれいむ一家。 「ゆっ、きっとお日様がのぼるまえにごはんあつめにでかけたんだね! 赤ちゃんたちが大きくならないのはまりさがゆっくりしたごはんをとってこれないからだよ! はんせいしてたくさんとってくるきになったんだね!」 「ゆっくちできにゃいおねーちゃんもいないよ!」 「ほんちょだ、うんうんかたづけるしかのうのないまりしゃがいないね!」 「これでれいみゅたちがたべるぶんがふえるよ!」 「おうちもひろくなるし、せいせいするね!」 この日から、もうこの家にごはんを持ってきてくれる者はいなくなった。 それに気づくのはいつだろうか? 冬前にもう一度観察に来てみよう。 次は、実ゆっくりで成長が止まっている れいむとありすのつがいの巣を見てみよう。 「おちびちゃんたち、なんで産まれてくれないのぉ!」 「やめてねありす!赤ちゃんたちはいまお昼ね中なんだよ!」 れいむの頭上の実ゆっくりは目を閉じたままだが、「ゆぅ♪」とか「みゅ~♪」とか返事をするので 間違いなく生きていることはわかる。 しかし、まるで造花実ゆっくりが頭に挿されているだけの様に待っても待っても産まれてきてくれないのだ。 だから、ありすは毎日たくさんの食べ物をとってきてはれいむに与えた。 れいむは以前よりもでっぷりと太っているだけで結局1匹も赤ゆっくりは落ちてこない。 ありすは限界だった。 れいむの植物型出産が終わったら、次は胎生妊娠をしようねと約束していたにもかかわらず いつまでもそれが出来ない。 ありすは赤ゆっくりとゆっくりしたい以外に性欲をも我慢し続けていたのだ。 「もう、ありすは限界だわ!れいみゅぅう!ありすとすっきりしてねぇええ!すっきり!すっきりぃ!すっきりぃい!」 「やめてね!赤ちゃん達が見てるよ!それにすっきりとか言葉をつかうと・・・」 「ゆぅ~ちゅっきり♪」「みゅ~・・・すっきゅり♪」 「ほらぁ!赤ちゃん達がへんなことばをおぼえちゃうでしょぉおお!」 でっぷりと太った体でありすを突き飛ばす。 毎日、たくさんのごはんを食べ続けていたれいむは、いまやありすの倍は大きかった。 「いたっ!やめてっ!ごめんなさい・・・ひぃ!」 「ありすのとってくるごはんが少ないから赤ちゃん達も産まれないんだよ! わかったらゆっくりしないで、もっとごはんを持ってきてね!」 「こんなの、ぜんぜんとかいはじゃないわぁああ!」 巣穴から逃げるように泣きながら飛び出していくありす。 それでも、ありすはれいむも実ゆっくりも見捨てる気はなかった。 れいむの頭上にいる実ゆっくりは、ありすにとっても可愛くて、特にカチューシャをつけている2匹の実ゆっくりは 自分にそっくりで都会派だったからだ。 れいむに横になってもらい、実ゆっくりとほほをすり合わせて「すーりすーり♪」した時は 「みゃみゃ・・・♪」「ちょかいは♪」と返事をしてくれてそれが一層の励みになった。 こうやってれいむと喧嘩をした時は、きまってありすは普段よりもたくさんのごはんをとってきた。 さつまいもに、にんじん、キャベツに大根 れいむと仲直りするために、危険を冒してもゆっくりしたごはんをとってくるのだ。 そんな都会派なありすの背中を見送って 次の巣に向かうことにした。 「ぎゅびぃびゃぁああああぁぁあ・・・うひぃぃいいいいい!」 洞窟から聞こえてくるのは、耳をつんざくようなまりさの悲鳴。 ここには善良な50センチサイズの胎生妊娠をしたまりさがれいむと住んでいる。 「まりざぁあああ!ゆっっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 しきりに、れいむがまりさを気遣って声をかけているが まりさのために何も出来ることがなくまりさの周囲をぐるぐると跳ねて泣きじゃくっていた。 以前来たときにあった敷き詰められた葉はそこらじゅうに散らばり、山の様にあった果実は暴れるまりさに踏み潰され それが腐り異臭を放っていた。 「おい、これはいったいどうしたんだ!」 「ゆっ、にんげんさん助けてね!まりさが赤ちゃんがなかなか産まれないから 心配して、お腹に力をいれて無理に産もうとしたんだよ! そうしたら、急にまりさが苦しんでそれからずっとこうなのぉおお!」 「ゆびぃぃいいいいぃい!ぐるじいぃぃいいい!もうまりざをごろじでぇええええ!」 まりさの全身に脂汗が滲み、苦痛からすこしでも逃れようと身をよじってごろごろと転がる。 れいむによると、もう数日もこの状態なんだそうだ。 ゆっくりは餡子が体から漏れない限りなかなか死なない、その生命力が災いしてまりさを苦しめ続けていた。 「まりざぁあああ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 もう、まりさは「ゆっくりしていってね!」に反応しないくらい精神が擦り切れていた。 こいつらは善良なゆっくりだ。出来れば助けてやりたい。 なにかないかとポケットを探ってみるとなぜかトングが出てきた。 トングとは、ピンセットを大きくしたような道具で 焼肉をひっくり返したりバーベキュー等で使う料理器具だ。 それがなぜ、この状況で俺のポケットから出てきたのかはわからない。 きっと、なにか見えざる力がこの善良なゆっくりとトングとを引き合わせたのだと考えるしかなかった。 さっそく、トングをまりさの産道に突き刺す。 「ゆびゅぅぅういいいぃいいいいいいいいいぃいいい!」 それから、トングを内部で広げる。 「ぎゅぴゅうぅぅううううぃいいぃいい!」 あまりの激痛にまりさは泡を吹いて白目を剥いていたが、これもまりさを助けるためだ。ゆっくり我慢してね♪ トングの間に何かまるっこいものがひっかかる。これをキャッチ。 「まりざぁぁあああ!がんばっでぇええええ!」 れいむの声援と唾が後ろから飛んできてうざい。 フンッ!と一気にトングを産道から引っこ抜くと そこには、1匹の子れいむがひっかかっていた。 「ゆぎぃぃいい・・・いぢゃいよぉぉおおお!」 続けて、もう一度まりさの産道にトングを突き刺すと今度は子まりさ、子れいむが出て 最初の子れいむと合わせて合計3匹の子ゆっくり。 まりさの苦痛はとれた様で、悲鳴はぜぃぜぃという息遣いに変わり命に別状はなさそうだ。 「ゆぎぃぃいいいぃいい!あかちゃんがぁああああ!」 代わりに悲鳴をあげたのはれいむだ。 3匹の子ゆっくりは未熟児で 最初の子れいむは目がなく、2匹目の子まりさは口がなく、3匹目の子れいむはその両方がない。 成長抑制により、胎児の状態で成長が止まってしまったのだろう。 「いぢゃいよぉ!みえないよぉ!おがぁしゃんどこいるのぉお!」 「ばでぃさのあがじゃんぐぁぁああ!」 「なんでおべべがないのぉ!おぐちがないのぉ!りょうぼおないのぉ!」 口がない子まりさは、その目で両親にしきりに「なんで、まりさはおくちがないの?」と 目も口もない子れいむは、口がないはずなのに体の内部から「うぼぉおおぉおお」と奇怪な音をさせていた。 長い苦痛から産まれた赤ちゃんがこの仕打ちで親れいむも親まりさも心が折れかけていた。 これでは、この一家は冬越え前に生きる気力を失って死んでしまうかもしれない。 それじゃ面白くないよね。 「れいむ!まりさ!しっかりしろ!お前らは親だろ! 子供達はもっと苦しいんだ!悲しいんだ! なのに、お前らときたらなんだ?あまったれるな! お前らがしっかりして、この子達をゆっくりさせてやらないと誰がこの子達をしあわせにしてやれるんだ!」 思いついたセリフをまんま言ってみた。 どういうわけか親ゆっくりどもの目に生気が戻る。 「ゆっ、そうだよ、この子達はまりさの子供だよ!目や口がなくたって、この子達はまりさとれいむの愛から 生まれた、ゆっくりした可愛い子供だよ!」 「ごめんねおちびちゃんたち!れいむよりもつらいよね!?かなしいよね!? れいむ一生懸命この子達を幸せにするよ!」 俺は腕を組んで、うんうんと頷いた。 頑張って子ゆっくりを育てろよ!間違っても殺すとか捨てるとかして 代わりに健康な赤ちゃんを産もうとか思いつくなよ! さて、冬越え前にまたこいつらの様子を見に来ようかな。 俺は善良なゆっくりの巣を後にすることにした。 冬は、早朝 雪の降りたるは言うべきにもあらず、霜のいと白きもまたさらでも、 いと寒きに・・・ 肌に突き刺さるような寒さを我慢して、さっそくゆっくりの巣を訪れた。 「みゃみゃ~・・・おにゃかすいちゃよぉ~・・・」 「ゆっくちしちゃごはんたべんちゃいよぉ・・・」 「ゆぅ・・・おとーしゃんかえっちゃきちぇ・・・」 「うるさいよ!おなかすいてるのはおかーさんだっていっしょだよ! それもこれも、まりさがわるいんだよ!」 まりさが帰ってこなくなってから、親れいむ1匹で餌を集め生きながらえていた。 餌を集めると言っても、普段狩などしたことがないため巣の周辺に生えていた草を引っこ抜いては持ち帰るという適当な採取で 甘い草とそうでない草の区別がついていない上、すっかり採り尽くして遠くまで行かなければ草一本生えていない状況まで追い込まれていた。 これは、もう数日もすれば共食いなり餓死なりして全滅だろうな。 ほっといても破滅する巣に興味をなくし次の巣へと向かおうとしたその時、1匹のゆっくりがこの巣へやってきた。 見つからないように気配を消して様子を伺う。 帽子の先が欠けているあのまりさだった。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!まりさ、みんなのためにたくさんごはんあつめたよ!」 帽子の中には、秋の終わりに集めた木の実やキノコ、食べられる草がぎゅうぎゅうに詰まっていた。 親まりさと一緒に冬を越えるための大切な食料であったが、まりさは自分の分を家族に分け与えるという選択をしたのだった。 得意満面の子まりさ しかし、家族の反応は冷ややかだ。 シーンっと静まり返っていた一家は噴出すように喚きだす。 「こにょばきゃまりさ!じぶんだけごはんをひとりじめしてたんだよ!」 「ゆっくちよこちぇー!くちょまりちゃー!」 「こいつのせいでおうちのまわりのごはんがなくなっちゃんだ!そんにゃにとっちゃから!」 「ゆぅ・・・ちがうよ、これはまりさがいっしょうけんめいあつめ・・・ゆべっ!」 まりさの背中の皮が千切れ餡子が漏れ出す。 親れいむがまりさを噛み付いたのだった。 「・・・なんで、おかーしゃん・・・」 「ゆっ、これでゆっくりふゆをこせるよ!おちびちゃんたちもたくさんたべておおきくなってね!」 「むっちゃむっちゃ!ちあわちぇー♪」 「このきのこゆっくちしてておいちーよ!」 「こっちのきのみ、かちゃ~い!みゃみゃやわらきゃくちてね!ゆんゆ~ん♪」 「ゆ・・・ゆ”ゆ”・・・ゆ”・・・」 まりさはまだ息があるようだったが時間の問題だろう。 そのうち物言わぬ餡子になり、こいつらの冬越えのたしになるのか・・・。 憎たらしい親れいむや赤ゆどもを叩き潰したい衝動にかられたが、それは今回の観察の趣旨に反するのでこらえることにした。 赤ゆが一生赤ゆから成長しない以上は、いずれゆっくり出来ない事態に陥る事を祈り次の巣へと移動する。 れいむとありすのつがいはどうなっただろうか 巣穴を覗くと、そこには頭上に実ゆっくりを生やしている親れいむしかいなかった。 そして4個ついていた実ゆっくりは3個に減っている。 ちょっと状況がわからなかったので、姿を見せて親れいむから事情を聞いてみる。 「ゆっ、このまえのあまあまさんをくれたおにいさん、ゆっくりしていってね!」 「ちゅっきりちていっちぇね!」 「ちゅっくち!」 「ゆぅ~ちゅっくちー!」 頭上の実ゆっくりは目を閉じたままだが、親れいむの”ゆっくりしていってね”に反応していた。 ありすがあんまり「すっきり」と言うものだから実ゆっくりに伝染し「ちゅっきりしていってね!」と覚えてしまったそうだ。 「つがいのありすはどうしたんだい?」 ありすの事を聞かれたれいむは目を伏せて暗い表情を浮かべている。 その目線の先には、ありすのカチューシャがあった。 冬越えのためにありすは一生懸命食料を集めたが、いっこうに落ちてこない実ゆっくりに業を煮やし 気に入っていた実ありすをもぐ事にした。 自分で生まれることが出来ないのなら手伝ってあげればいいと考えたからだ。 もがれた実ありすは柔らかい葉っぱに落ちて、目を開いて赤ゆっくりとなんらかわらない様に見えたが 横向きのままで自分では立つことも出来なかった。 口があっても挨拶はしないし、どんな餌を口に運んでも噛むことも飲み込むことも出来ない。 それでも、ありすが顔を近づけて「すーりすーり」とほおずりをすると、実ありすは「ゆっ♪ゆっ♪」と喜んで 確かに実ありすが生きていることがわかった。 それから、半日もしないで実ありすは萎れてきて、ありすは餌をよく噛んであげて口移ししたりお水を飲ませようとしたが 結局、最後には「ゆ”ゆ”」と苦しそうな声をあげながら痙攣し干からびてしまった。 悲しみに沈むありすは我を忘れて、れいむの頭上にいる他の実ゆっくりももごうとしたため、止めるれいむと揉みあいになり 気がつけばありすは潰れていたという。 ふと親れいむを見ると、実ゆっくりのために過剰に食料を食べていたため太ましく大きい。 連日の餌採りに疲弊して痩せたありすにはひとたまりもなかった事が伺えた。 「おにーさん、またあまあまをちょうだいね!」 このまま、このれいむを放置してもいいが実ゆっくりごと餓死するだけなのは目に見えている。 それでは、もう観察する面白さがない。 先日、捕まえたコンポスト用の赤ゆも替え時なのでコイツを新たなコンポストにしよう。 実ゆっくりのために、たくさん生ゴミも腐ったゴミも食べてくれるに違いない。 「ゆっ、おにいさんはなしてね!れいむがいくらかわいくてもゆうかいしないでね!」 右手でジャンケンのチョキの形をつくり、そのチョキが綺麗にれいむの両目に突き刺さる。 「ゆぎゅ!」 これで少し大人しくなった。 善良なゆっくりの巣は意外にも幸せそうだった。 3匹いた子ゆっくりのうち、口のないまりさと目も口もないれいむは餌を食べることが出来ずにすでに死んでいたが その分、目の見えないれいむ1匹を可愛がっていた。 「きょうは、寒いからおかーさんたちとくっついてすーりすーりしながら寝ようね!」 「まりさはおちびちゃんのために、葉っぱさんの服をつくってあげたよ!」 「おかーしゃん、すーりすーり♪はっぴゃのふくあっちゃか~い♪」 大き目の葉を、まるで桜餅の様に縦に着ている子れいむ。 成長抑制剤のおかげで体の大きさは一生そのままだが、目が見えずとも親の愛を一身に受けて育っていた。 子れいむにしても生まれたときから目が見えないわけで自分が不幸である事を自覚していない。 だから、自分が幸せなのだと思っていられる。 障害を抱えた子供を殺すに殺せずに苦しみ続けているという状況を想像していただけに 逆に幸せなゆっくり一家を見せ付けられるとどうにも気持ち悪い。 いっそのこと一度、子れいむに光を与えてみるか。 時に希望は絶望への最高のスパイスになりうるのだ。 「ゆっ、この間のおにーさん!」 「おにーさんのおかげで、ひとりだけおちびちゃんを助けられたよ!」 「ゆっくちしていってね!」 こいつらの中では、苦しむまりさを手術して助けてくれた人間という事になっていた。 「その子ゆっくりが心配でね、今日はその目を治しにきたのさ!」 コンポストで育てた赤ゆは今では子ゆっくりサイズになっており、1匹締め上げ目玉をくり貫いて持ってきた。 それを目が見えない子れいむに填め込んでやりオレンジジュースをかける。 眼球の大きさは個体差が少なく、同じれいむ種のものを使えば一応は見えるようになる。 それから小麦粉を溶いてまぶたをつくってあげた。 「ゆっ・・・」 おそるおそる、目を開く子れいむ。 生まれて初めて感じる光 洞窟の中は薄暗いが、それでも子れいむには色とりどりの美しい世界 そして初めて見る親れいむと親まりさ なにもかもが輝いてそのキラキラしたおめめに飛び込んできた。 「ゆっくちしていってね!ゆっくちしていってね!」 「おちびちゃん、おめめが!おめめがあるよ!」 「とってもかわいいおめめだよ!すごくゆっくりしてるよぉ!」 大きな体でまるで赤ゆっくりの様に洞窟内を飛び跳ねる親れいむと親まりさ 初めての妊娠している事がわかった時にも、こんなに喜んだことはなかった。 その姿を見た子れいむも、一緒になって飛び跳ねたりほほをすり合わせたりして、今確かにゆっくり出来ている事を実感する。 だが、これは一時的なものなのだ。 目が見えるとはいえ、自分の体と完全に同化したわけではなく、この移植された目は死んだままだ。 だから数日もすれば朽ちて腐敗し、また暗闇の世界へと帰ることになる。 あー、ごほんごほんっと咳払い それから親ゆっくりに説明をした。 「ゆぅ・・・おちびちゃん、また目が見えなくなっちゃうの?」 「そんなのだめだよ!ずっとゆっくりさせてあげたいよ!」 「れいむ、おかーしゃんたちがみえなくなるのいやだよ・・・ゆえぇ~ん」 そこで提案する。 「また、新しい目を移植すればいいんだよ」 他の子ゆっくりの目をくり貫いて、この子に与える。 癒着させるためにはオレンジジュースでなくても水で溶いた餡子でもいい。 「ゆぅ・・・」 「ゆゆ・・・」 「ゆわあぁ~ん・・・おかーしゃんたちみえなくなるのやだよぉお!」 何しろ善良なゆっくりのつがいだ 他人を不幸にして自分が幸せになろうなんて思ったこともないに違いない。 すぐには答えを出せないだろう。 一通りゆっくりの巣を見て回ったし家路につくことにした。 もっとも、自分の幸せではなく子の幸せなら 最後に出す答えは始めから決まっているんだけどね。 だけど、それを選択したら一生続けることになるよ、ゆっくりできない餡子まみれの生活を・・・ なにしろ、その子は一生大人になることがないのだから。 台所の三角コーナーには、冬前に拾った赤ゆが数匹詰まっている。 蓋が閉まるタイプなので、カシカシっと内側から壁を叩く音はしても声までは伝わらない。 しかし、何が言いたいのかはだいたいわかっている。 蓋を開けた。 「れいみゅ、にゃんでもたべまちゅからごはんをくだしゃい、にがきゅてもからきゅてもいいでしゅ」 「なにかまりしゃわるいことしましちゃか?あやまりましゅ・・・あやまりゅのでごはんをくだしゃい・・・」 「ありしゅはくさったにょでもよろこんでたべましゅ・・・おいししょうにたべまちゅから・・・」 3匹ともカビの生えた使いかけの古い石鹸をこね合わせたように緑色やオレンジ色、紫色のグラデーションが外皮に 紋様を浮かべていた。 初日こそ「あまあまよこちぇじじー!」だの「こんにゃのたべるくりゃいならしんだほうがまちよ!」なんて反抗的だったが 結局は餓死の地獄の苦しみには耐えられず、なんであろうと口にした。 目に見えて変色してくると、もはや末期だ。 ゆっくりコンポストは生ゴミを餡子に変化させるから価値がある。 しかし、ここまでくると生ゴミを食べても生ゴミを排泄してしまうのだ。 「釈放だよ・・・」 彼らに向かってニッコリっと満面の笑顔を見せてそう告げた。 不要になっても潰したりはしない。 よく働くように希望を持たせるため刑期を終えたら自由にしてやると約束をし、キチンとそれを守る。 素手で掴むと異臭のする汁が肌に触れてしまうため三角コーナーごと庭に持っていくとひっくり返して外に捨てた。 「おうちかえりゅよ・・・れいみゅ・・・みゃみゃにあいちゃいよ・・・れーみゅしゅーりしゅーりしちゃいよ・・・」 「まりしゃのおかーしゃん・・・ゆっくちちていっちぇね・・・まりしゃこれからおうちかえりゅよ」 「ありしゅ・・・もっとゆっくち・・・しちゃか・・・ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」 ずりずりとナメクジの様に這って進む赤ゆども。 腐敗物だろうとカビだろうと何でも好き嫌いなく食べれる彼らは道の草だろうと犬の糞だろうと食べて餓死を免れ 本当に親元まで帰れるかもしれないな。 親がこいつらを見てどういう態度をとるかは知らない。 思い出は、きっと思い出にしておいたほうが美しいんだろう。 「ここはどこなのぉ!せまくてゆっくりできないよ!」 円筒タイプのゴミ箱の底に設置した生まれない実ゆっくりを生やしているれいむが目を覚ました。 とりあえず一週間前に食べ残した弁当箱の中身を捨てよう。 食べなくてもかまわない。 それが二週間前の食べ残しになってから餡子になるだけのことさ。 「くしゃいぃー!こんなのたべれるわけないでしょ!ばかなのしぬの?あまあまもってきてよね!」 蓋を閉めると、内側をガシガシと叩く音だけが響いていた。 おまけ 子まりさ1匹が帽子一杯に貯めた食料などたかがしれていた。 それに加えて狩をまりさにまかせっきりだったれいむは冬越えのための食料を節約しないといけないという事もわかっていなかったので 親れいむ、赤まりさ、赤れいむ3匹でお腹一杯に食べれば3日で尽きてしまった。 それから、死んだ子まりさの餡子をむさぼり それも尽きると今度は親れいむが赤まりさに噛り付き、赤まりさを食料にした。 「それもこれもまりさがわるいんだから、まりさがせきにんとってね!」 「まりしゃがたべられればいいんだよ!」 「ばーきゃ!ばーきゃ!」 「ひとりだけちがうこなんてゆっくちできにゃいよ!」 「いちゃい!やめちぇね!まりしゃはおかーしゃんのあかちゃ・・・ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」 どれくらい時間が流れただろうか その赤まりさを食べつくした頃、突如入り口を塞いでいた枝や葉が取り除かれて 冷たい風が吹き込んできた。 親れいむはお帽子のシルエットに、まりさが帰ってきたんだ! 反省して、やっとみんなのごはんを採ってきて帰ってきたんだと思った。 その影が近づいてくると、成体よりもはるかに大きいまりさであることがわかり別人であることに気づく。 つづいて、同サイズのれいむが入ってきた。 「ごめんね、まりさのおちびちゃんのためにおめめをちょうだいね!」 「ていこうしなければいのちまではとらないよ!ほしいのはおめめだけだよ!」 その年、冬篭りが終わると 目を失ったれいむ種ばかりが巣穴から這い出てきたので人間たちはその森が呪われていると恐れ 結果的に、以後数年に渡りゆっくりたちを脅かす者がいなくなり やがて、ゆっくりプレイスと呼ばれるようになったそうな。 「れいぶ・・・なんでもたべますから・・・ごはんをください くさっていても、にがくてもおいしそうにたべます・・・どうかどうかあかちゃんのためにもごはんをください・・・」 「ゆぅ・・・」「みゅ~・・・」「ちゅっきり・・・」 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ ゆっくりいじめ系1905 あったかいゆっくり ゆっくりいじめ系1935 しゃべらないゆっくり ゆっくりいじめ系1940 愛されまりさの一日 ゆっくりいじめ系1993 加工場産の赤ゆっくりを育てる 前編 ゆっくりいじめ系1994 加工場産の赤ゆっくりを育てる 中編 ゆっくりいじめ系2110 加工場産の赤ゆっくりを育てる 後編1 ゆっくりいじめ系2111 ゆっくり二世帯住宅 ゆっくりいじめ系2143 いっしょうのおねがい 作者:まりさ大好きあき
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ゆっくりとお預かり 17KB 虐待-普通 理不尽 飼いゆ 野良ゆ 現代 虐待人間 飼いゆっくり(金バッチ)が酷い目に遭う描写ありです。 ・前作「ふたば系ゆっくりいじめ 775 ゆっくりと黒豆」を読んで頂いた方、ありがとうございました。精進します。 ・人間が出ます。 ・人様の飼いゆっくり(金パッチ)が悲惨な目に遭います。 『ゆっくりとお預かり』 私はしがない虐待お兄さん。 今日は二連休最終日となる日曜日である。 だが私は敢えて朝寝坊はせず、まずは朝のスーパーアニメタイムを一通り満喫した。 アニメ鑑賞中には朝食も済ませる……この流れはもはや私の日曜の恒例行事となりつつある。 そして、アニメが全て終わった後のもう一つの恒例行事……愛犬・ミニチュアダックスのポチと散歩する時間となった。 平日は仕事がある為に散歩が不十分な事が多い分、休日はかなり時間をかけて散歩をするのだが…… 「ゆっ! じじい、おそすぎるんだぜ! まりささまはまちくたびれたんだぜ!」 ……ポチの横で偉そうに跳ねるバスケットボール大のこの糞饅頭は、どこにでもいるごく一般的なゆっくりまりさ。 強いて違うところをあげるとすれば、お隣さん一家の飼いゆっくりで、しかも金バッチってことかナー。 ……そう、今私はゆっくりを預かっているのである。 この糞饅頭を私に託したお隣さん一家は、先日から一泊二日の温泉旅行に出かけている。 本来虐待お兄さんの家に飼いゆっくりを預けるなど「こいつ殺っといて」と言うようなものだが、悲しいかな私は小心者だ。 今まで虐待は人目に付かない所でしかやっていないので、お隣さんは私が虐待お兄さんである事を知らないのだ。 また、ポチとの散歩中に糞饅頭と散歩中のお隣さんと会う事も多く、ポチがゆっくりに友好的な犬である事を向こうは知っている。 それでお隣さんは私にゆっくりを預けても大丈夫と判断したらしい。 ゆっくりフードなど必要な物品は全て渡されているし、何より常々お世話になっているお隣さんの頼みは断れず、現在に至るのだ。 「じいい! はやくまりささまをおさんぽさんにつれていくんだぜ!」 ……こんな糞同然の喋り方しか出来ないようだが、確かに奴のお帽子には本物の金バッチが光輝いている。 お隣さんの話では、この糞饅頭はペットショップでうん万円で売られていた、由緒正しき金バッチだったらしい。 しかしまあ購入後の躾けはお世辞にもうまくいっているようには見えず、お隣さんの息子・健太君(10)とはいい喧嘩仲間だ。 まあ健太君からしてみれば糞饅頭くらい生意気な方が遊び相手として丁度いいのだろうが、傍から見ている私はブチギレである。 先日から預かっていたもののその言動、態度に苛立ち何度虐待しようと思った事か。 糞饅頭は私がご近所付き合いを考え踏み止まる程度の理性を有していた事を感謝するべきなのだ。 「まりさ、まずはポチと散歩に行ってくるからな。お前は帰ってきてから連れて行ってやる」 「なにいってるんだぜ! まりささまはげすとさんなんだぜ! そんないぬさんはあとまわしだぜ!」 「昨日から言っているが、飯も散歩も古参からやるのが我が家のルールだ。ゲストだろうが新入りは後からなんだよ」 「まりささまのほうがいぬさんよりえらいんだぜ! じじいはそんなこともわからないなんてばかなんだぜ!」 「しばらくしたら戻るからゆっくり待ってろ」 ……言い聞かせようなど考えるだけ無駄だ。私は自分がキレて虐待に及ぶ前に糞饅頭を残し、ポチを連れて散歩へと出かけた。 本当なら二時間はじっくりとぶらぶらしたかったのだが、糞饅頭の散歩もあるので僅か三十分で自宅へと帰り着く。 ポチには本当に申し訳ないが、お詫びに今度の休日にはドッグランに連れて行ってあげよう…… 「まりさ、戻ったぞ。散歩の準備は出来たか?」 リビングに入り、ポチの首輪からリードを放してやると、ポチはダッシュでリビングの奥へと消えていく。 そして次は糞饅頭に首輪とリードを付けようと準備をするが……おかしい、静か過ぎる。 今までのパターンだと「おそいんだぜ!」と悪態をつきつつも出迎えてきていたのに、何の反応もない。 「ワン! ワンワン!」 そしてリビングの更に奥、台所から響くポチの叫び声……心の底から嫌な予感しかしない。 「まりさ、どうした? まりさ……」 「ゆ゛っ……」 台所に入って、私は全身から血の気が引いていく感覚を久しぶりに感じた。 そこには、ひっくり返った台所のゴミ箱の前で、口から多量の餡子を吐いて痙攣する糞饅頭の姿があったのだ。 「やりやがったな、糞饅頭が!」 糞饅頭を台所の流し台に置き、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、あるだけ全部ぶち撒ける。 「ゆ゛っ……あばあば……」 ……気持ち回復したようだが、本当に気持ちだけだ。 ひっくり返ったゴミ箱の傍にある奴が吐いた餡子の量は、致死量に限りなく近い。 ここ数日の私の食事はかなり辛い物が多く、当然ゴミ箱の中の残飯もそうだったのだ。 そんな物をもろに食べてしまっては、温室育ちの金バッチでは多量に吐くのは当然の事。 かといって吐いた餡子を口に戻そうものなら、餡子の中の辛味で今度こそ絶命必至だ。 「くそっ、今まで悪さをしてないからって信じた俺がバカだった!」 言い訳がましいが、この糞饅頭は確かに言動こそゲスそのものだが、我が家に来てから一度も粗相はしていなかった。 入るなと言った場所には悪態をつきつつも入らず、物を壊したり、食べ物を勝手に食べたりもしない。 体格的に自分よりずっと劣るポチをいじめたりもしない。本当に悪いのは口だけだったのだ。 幾ら言動が酷くなろうと本質的には金バッチなんだ……私も言動にはブチギレだったが、内心認めていないでもなかったのに…… ……そうだ、きっと糞饅頭もストレスがマッハだったのだろう。 大好きなお隣さん一家と一日以上会えず、我が家では一番下扱い……我慢の限界を超え、ついに暴挙に出てしまったのだ。 思えば奴も被害者だ。お隣さんには、不幸な事故としてよく謝って…… 「ワン! ワン!」 ポチに吼えられハッとする。 糞饅頭はまだ生きている。今はお隣さんへの言い訳を考えている場合ではないのだ。 お隣さんにとっては大切な家族である糞饅頭。 良好なご近所付き合いを続ける上でも、死なせる訳にはいかない。 「よ、よし、こいつは餡子を多量に吐いて死にかけているから……必要なのは、新しい餡子! だな、ポチ!」 「ワン!」 ……飼い犬に同意を求めるとはテンパリすぎにも程がある。 まあ、ゆっくりを死なせたら大変な事になるなんて状況は滅多にないせいだが。 しかし糞饅頭を助ける為にするべき事は決まった。要は新しい餡子を糞饅頭に補充してやればいいのだ。 私はポチに糞饅頭を見守るよう託し、近所の公園へと走った。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 公園に足を踏み入れ、開口一番に叫ぶ。 するとどうだ、以前殲滅したというのにいつの間にか公園に住み着いていた、新たなゆっくり共が声を返してくる。 がさがさと茂みから姿を現したのはバレーボール大のれいむと……ビンゴ! まりさの番だ。 「ゆゆっ! じじい、ここはまりさとれいむのゆっくりぷれいすだよ! ゆっくりでていってね!」 「あまあまもちょうだいね! いっぱいでいいよ!」 「ゆっ! あまあま!? じじい、まりさはけーきさんがほしいよ! ……ゆわーい!おそらをとんでるみたい!」 相変わらずこの公園はゲスが住み着くことに定評がある。 しかしながら今は非常事態。ゲスといえども立派な餡子供給源になって貰わなければならないのだ。 万が一拒絶反応とかがあったら嫌なので、糞饅頭と同じ種族であるまりさを掴んで持ち上げる。 野良であるまりさはもの凄く汚いがこれもお隣さんの為。我慢である。 「ゆゆっ! まりさいいなあ! じじい、れいむもおそらをとばせてね!」 「……まりさ、よく見ていろよ?」 「ゆ?」 「なにいってるの!? まりさだけじゃなくてれいむもぶっ!?」 きょとんとするまりさを尻目に、私は足元で喚くれいむの顔面を蹴り上げた。 歯が八本は吹っ飛び、口から餡子を垂れ流して木に激突するれいむ。 「ゆっぎゃあああああああああああ!?」 「ゆわああああああああああ!? じじい、れいむになんてことするのおおおおおおおおおお!?」 蹴り飛ばされたれいむの叫びと、呆然と見ていたまりさの叫びは、れいむが木に激突して数秒後に見事にシンクロした。 「い、いだいいだいいだいいい! はなせじじいいいいいいいいい!」 これまでの抱えるような持ち方から一転、まりさの薄汚い金髪を左手だけで掴んで持ち上げる。 髪の毛から垂れ下がるまりさの胴体……まるでネットに入れたスイカを持っている気分だ。 まあ、スイカはぐりんぐりん動いて暴れたりはしない訳だが。 「はなぜはなぜはなぜえええええええ! ……いだっ! いだい! かみのけざんいだいいいいいいいいいいいい!?」 私から逃げようともがく程に自分の髪の毛が引っ張られて痛いだろうが、かわいそうなので黙っておいてあげよう。 「……ぼう……やだ……でいぶ……おうぢがえる……」 まりさを宙ぶらりんにしたままれいむの元へ向かうと、案の定れいむからおうちかえる宣言が飛び出した。 もちろんそんなものは無視してれいむを仰向けに寝せる。 多少じたばたと暴れたが、空いた右手でれいむの左目辺りを殴ったら大人しくなった。 「どぼ……じで……ごんなごど……」 「もうやめでねええええええ!? でいぶをいじめないでねえええええええええええええ!?」 ズタボロになったれいむをまりさに見せ付けてやると、まりさはもうやめてと懇願する。 ゲスにしてはなかなか番思いなものである。もしその思いやりをほんの少しでも人間に向けられれば違っただろうに。 「なあまりさ、お前がもし餡子を貰えるとしたら、甘い方が嬉しいか?」 「いまぞれがんげいないでしょおおおおおおおお!? でいぶをだずげでよおおおおおおお!」 ……足元にあった木の枝を拾い、無言でれいむの陥没した左目に突き立てる。 「ぴぎゃあああああああああああああああああああああ!?」 「ゆんやああああああああ!! でいぶのおべべがあああああああああ!?」 「質問に答えろ、まりさ。餡子を貰えるなら甘い方が嬉しいか?」 「う、うれじいでず! だがらでいぶをだずげでえええええええええ!」 うむ、思ったとおりの答えを得る事が出来た。 これから糞饅頭用の餡子を確保する訳だが、どうせなら少しでもクオリティの高い物を用意したいと思うのは人情だ。 ゆっくりが何よりも大好きなのは甘い物……それは例え食べ物としてではなく、体内に直接補充するとしても変わらない筈。 そこで餡子供給源になってもらうこのまりさには、出来るだけ多くのストレスを与えて甘くする事にした。 まりさが番を即座に見限るゲスならば今のれいむのポジションにシフトしていたが、珍しく仲間思いな奴だったので好都合だ。 ここはこのれいむを徹底的に虐待し、まりさには無傷のまま甘い餡子を体内に備蓄させる。 「……なあ、まりさ。お前が生まれてから何日経つかわかるか? お日様が何回昇った?」 「ゆ、ゆ!? い……いっぱいでず!」 いっぱいです……まあ、私だって同じ質問をされたらそう答えるだろう。 質問が悪かった気もするが、野良が三より大きな数字を数えられない事など百も承知だ。 「とりあえず百日という事にしよう。じゃあまりさ、お前の所望したケーキ……生誕百日を祝うバースデーケーキをあげよう」 まりさを左手で掴んだまま屈み込み、地面を見渡す。 そして私は大きいもの、小さいもの、太いもの、細いもの……様々な木の枝を空いた右手で拾い、足元に集めた。 「これ百本もあるのか? ……まあどうでもいいが」 「じじ……お、おにいざん! ぞのえだざんどうずるんでずが?」 「あれだ、ローソクがないから代わりにな。ソイッ」 「ゆぎゃああああああああああああああ!?」 「でっ……でいぶあああああああああああ!?」 ぷすりという間抜けな音を立て、仰向けにされたれいむの右頬に一本の枝を突き立てる。 長さにして十センチもない実に細々とした枝なのだが、饅頭の皮相手ならばロンギヌスの槍みたいに軽々と貫通してくれるのだ。 「やべでぐだざい! でいぶのほっぺさんささないでえ!」 「いやいや、とりあえず今拾った分は全部刺すから。ソイッ」 「ゆぎい!」 「でっでいぶううううううああああああああ!」 バランスが良くなるように今度は左の頬にも一突きしてやる。 そしてそこから円を描くように、れいむの口の周りにも次々と枝を突き刺してやった。 バースデーケーキのロウソクに見立てているつもりなのだが、れいむ自身が球体なせいか、どちらかというとウニに近い。 「やべで……ぼうやべでぐだざい……」 別の生物へと化しつつあるれいむを直に見せ付けられ、まりさの声に段々ハリが無くなってきた。 ここまで番思いな野良は本当に久しぶりである。今日は実に虐待日和ではないか。 「ゆぎっ……」 そして刺されているれいむだが、こちらの反応もどんどん鈍くなってきている。 まあかれこれ三十本以上は体中に枝が突き刺さった状態なので、無理も無いが。 「ばりざ……だずげで……ゆぎゃあああああああああ!?」 潰さずに残しておいた右目に枝を突き刺してやる。おお、頑張ればまだ叫べるようだ。 「でっでいぶううううううう! おにいざん! もうゆるじであげでぐだざい!」 「いやいや、これからがいい所だろ……あ、でももう枝がこれだけか」 久しぶりの上玉に私の心も躍っていたのだが、残念ながら枝が最後の一本になってしまった。 だが、これがまた長くて太い。名付けるならグングニルである。 「……おにいざん! ごべんなざい! それだげはやべでぐだざい!」 「よし分かった、これで最後にしてやる。その為におでこにはまだ一本も刺してないからな」 れいむの眉間に照準を合わせ、右手で力一杯突き刺す。 「ゆ゛っ……」の一言を残し、れいむはそのまま一切の活動を停止した。 どうやら無事中枢餡に直撃したようだ。きっちり最後の一本で死んで何よりである。 「ゆっ……ゆわああああああああああ! でいぶっ! でいぶあああああああああああああああ!!」 流石にまりさもダメージが致命的であると察したのか、今までに無い力でばたつき、そして号泣してしまった。 これだけでも付近の枝を拾い集めた甲斐がある。休日のよいストレス解消だ。 「……どぼじで……どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおお!?」 物言わぬれいむを見つめながら訴えるまりさ。どうしてと言われても、虐待お兄さんが虐待を行うのは当たり前である。 ……だが待てよ、考えてみれば私は糞饅頭の餡子を確保する為に虐待をしていたのではないか。 途中からまりさの反応が楽しすぎてすっかり忘れていた。ていうか糞饅頭はまだ生きているだろうか? 「まりさ、お前には今から家に来て貰う。そしてお前の餡子を死にかけている糞饅頭の為に全部使ってやる」 「いやだああああああああ! ばりざのあんござんどらないでええええええええええ!」 「お前みたいな糞同然の野良の餡子でも飼いゆっくりの役に立てるんだぞ? 光栄に思って死ね」 「だずげでえ! ばりざのあんござんはおいじぐないよおおおおおお!?」 「不味いのは分かってる。はっきり言って店売りに比べたら野良の餡子なんて……ん?」 ……待てよ。今私は何と言った? 店売り…… 店 売 り …… ……そうだ、最初から買えば早いじゃないか…… 大体野良の餡子の品質はすこぶる悪い。そんな物を金バッチを取るようなゆっくりに移植したら、激しく品質が落ちてしまう。 嗚呼、テンパるとこんな当たり前の事に気付くのにこんなにも時間がかかるものなのか…… 呆然とまりさを掴んだ左手を離すと、まりさは私に振り返る事なくれいむの傍に駆け寄り、すすり泣く。 「……えーと、まりさ……おつかれ」 とんだ無駄足に付き合ってくれたお礼に、私は一踏みでまりさを絶命させてやった。 まりさが弾けた瞬間、周囲はとても甘ったるい餡子の匂いに包まれた。 公園備え付けのゴミ箱にまりさとれいむを片付けた後、私はその足で近所のペットショップに来ていた。 普段はポチ関連の餌や遊具を買う店なのだが、今日は普段見向きもしないゆっくりコーナーへと直行。 一kg五千円(!)のゆっくり用高級餡子を始め、治療用オレンジジュースや小麦粉を手に取り、そそくさと買い物を済ませた。 ……糞饅頭が金バッチじゃなければ全部安物で済ませたのだが。 そんなこんなで我が家に帰宅。ポチが心配そうな顔をして出迎えてくれる。 ……さすがに絶命してしまったかという不安が頭を過ぎったが、流し台では半死半生の糞饅頭が佇んでいた。 さすがに半端ではない生命力を誇るゆっくりである。 オレンジジュースを大量にかけておいたとはいえ、よくぞ生きていたものだ。 「まりさ、しっかりしろよ。今から治療してやるからな」 「ゆ゛っ……」 私は糞饅頭をまな板の上に移動させると、糞饅頭をうつ伏せにさせた。 台所用はさみで後頭部の一部の髪を切り、大匙で直径十cm程度の穴を空けるようくり貫く。 糞饅頭は呻いたが、瀕死の状態なので殆ど抵抗はされなかった。 続いて買ってきたゆっくり用高級餡子を大匙で一杯ずつ、くり貫いた穴から糞饅頭の体内へと放り込む。 その際に中を覗いて見ると結構空洞が目立っている。吐いた餡子の量を考えれば当然ではあるが。 一袋を入れ終える頃には、糞饅頭は吐く前とほぼ同じ大きさにまでなっていた。 あとはオレンジジュースで溶かした小麦粉で空いた穴に栓をし、アフターケアはばっちりである。 穴が開いた場所の上からは糞饅頭の髪が垂れているので、跡が見つかる事はないだろう。 「……ポチ、糞饅頭を見守っていてくれてありがとう。手術は成功だ……!」 「ワン! ワン!」 私の表情に糞饅頭の生還を読み取ったのか、ポチは尻尾を限界まで左右に振って喜びを露にしてくれた。 そして夜の七時過ぎ、我が家のインターホンが鳴り響いた。 「ワン! ワンワン!」 「帰って来たんだな、お隣さん」 ポチが真っ先に玄関へ走り、次いで私が、更に後に糞饅頭が玄関へ向かう。 「只今戻りましたー。まりさの面倒を見て頂いてありがとうございました。これ、温泉のお土産です!」 ドアを開けるとお隣のご主人と奥さん、それに健太君のお隣さん一家が揃い踏みで待っていた。 そして渡されたのは温泉饅頭やご当地の漬物……結構な量である。 まあ、ペットを預かって貰ったからだろうが。 「まりさ、元気してた!? 温泉すっげー気持ち良かったよ!」 「まりさ、あなたへのお土産もちゃんと買ってるからね!」 「ああ、まあ、その……ほらまりさ、ちゃんと挨拶しなきゃ」 「ゆゆっ! おかえりなさいおとうさん、おかあさん、けんたくん! ゆっくりしていってね!」 ……シーンと静まり返るお隣さん一家。 あれ、まりさって語尾に「だぜ」とか付けてなかったっけとか、そもそもこんなに礼儀正しかったっけとか、そんな顔を浮かべている。 「……ま、まりさ、ただいま。……あれ? まりさってこんなキャラだったっけ?」 「まりさはまりさだよ! けんたくんたちがかえってきて、まりさうれしいな!」 「え……?」 まずい、どんどん困惑するお隣さん達。 だがそれも当然である。治療を終えて意識を取り戻した糞饅頭は、性格が"リセット"されていたのだから。 私が糞饅頭の治療に使った餡子は、正真正銘金バッチ用の高級餡子だった。 基本的にゆっくりの質は中の餡子の質と言っても差し障りは無い。 元々ペットショップで金バッチとして売られる程の糞饅頭は、飼われて以降の甘やかしでゲス化していただけで元の品質は高かった。 そんななかで体内の言わばゲス餡子が排出され、高品質な餡子が代わりに補充された結果、糞饅頭の性格は一気に改善されたのだ。 ……多分、そんな理由だろう。ゆっくりだし。 しかし、今になってこの状況がまずいのではないかと気付く辺り私はやはり抜けている。 預けている間にゲスになっていたらブチギレだろうが、かといってここまで性格が変わってしまってお隣さんは何を思うのか。 こんな事なら、せめてだぜ口調になる程度に教育しておいた方が良かったのでは…… 「まりさ! そうかそうか、このお兄さんに躾けて貰ったんだな!」 ……おや? 今ご主人がいい事を言ったような気がする。 「本当ね! まるでまりさが初めて家に来た時みたい!」 おお、奥さんもいい事を言ってくれている。 「すみません、まりさを預かって貰っただけじゃなくて、躾けまでして頂いて!」 「最近まりさはちょっと態度が気になっていたんで、本当に助かります!」 「あ、いえ、私は別に大した事は何も……」 いい事言う所か感謝されまくりである。さすがにちょっと申し訳なさすら感じてしまう。 元はといえばこっちの不手際で死なせかけ、性格だって変わってしまったというのに。 「ありがとう、お兄さん! まりさがとっても賢くなったよ!」 やめてくれ健太君。今日一日の行動を知られた日には私はこの一家には顔向け出来ないのだが。 「おにいさん、まりさのめんどうをみてくれてありがとうございました! いぬさんもゆっくりしていってね!」 「ワン!」 ああ、糞饅頭にお礼を言われた上にポチも仲良くしている……いいのだろうか? 本当にこれでいいのだろうか? 「よし、じゃあ皆、家に帰ろうか。まりさ、帰ったら温泉饅頭を食べような!」 「まりさには温泉卵もあるからね!」 「ゆわーい!」 ……だがまあ、糞饅頭の性格がクズだったのも元はといえばお隣さん一家の甘やかしが原因である。 多分この後散々甘やかされるのだろうし、案外近いうちに元通りの糞饅頭が出来上がるのかもしれない。 「それでは、私達はこれで」 「またいつか預かっていただけたら助かります」 ……最後に何か凄く恐ろしい一言が聞こえた気がしたが、聞こえなかった事にしてお隣さん一家に別れを告げる。 「……ポチ、散歩行こうか」 「ワン!」 そして、最後まで尻尾を振ってお隣さん一家を見送るポチを連れて、夜の散歩へと出かけて行った。 【完】 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 事実を伝えても平気では? こちらの被害 対応(レシート付き)を教えれば、「一般教養のある人間」ならば、 飼いゆのゲス行動で迷惑を掛けてしまったとわかるはず。 -- 2018-01-07 13 43 53 無限ループするんですねわかります -- 2014-03-21 00 20 56 …百均の餡子でいいんじゃね?とか思った。百均の餡子意外とめちゃ美味いし。…美味いだけじゃだめか -- 2012-11-11 20 32 34 面白いwww -- 2011-09-21 14 49 40 野良のあんこを入れなくてよかったね、もし入れてたら、悲惨な目に会ってたかも -- 2010-12-13 01 29 51 面白かったwww 人様の飼いゆっくりが悲惨な目にと書いてあったから警戒したが、 良い話じゃねぇのww -- 2010-11-22 22 34 15 面白かった -- 2010-06-15 00 24 53
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(新入生) 「起立。」 「礼。」 「着席。」 「皆さんおはようございます。今日からこのクラスに仲間が一人増える事になりました。」 どんな奴だろう。カッコいい人だったらいいな。俺今朝それっぽい奴見たぜ。 ざわつく教室。生徒達の視線が集まる扉を教師が開ける。 が、誰もいない。転校生のかわりにそこにいたのは・・・ゆっくり? 教師はゆっくりを抱えあげ、教卓の上に降ろす。 え、まさか・・・。あれが転校生? 教卓の上に立ったゆっくりまりさは、満面の笑みを浮かべ元気に挨拶をする。 「しんにゅうせいのまりさだよ!みんな、きょうからいっしょにゆっくりしようね!」 静まり返る教室。生徒達のリアクションなど気にも留めず、教師は話を始める。 「まりささんは以前どこかの学校に通っていた、という訳では無いので転校生ではなく新入生です。 学校がどんな処なのかもまだ良く解っていないと思います。皆で助けてあげてください。 ところで、皆さんは疑問に思うかもしれませんね。どうしてゆっくりが学校に通うのかと。」 「ゆっくり保護法ができたお陰で、最近人間社会に交じって生活するゆっくりが増え始めています。 彼女の両親もそうです。そんな彼女達ですが町での生活に馴染めず孤立するケースが多数報告されています。 そこでゆっくりが人間社会に早く順応できる様、子供のうちに学校に通わせ集団生活を経験させるべきだ と言う提言が出ました。現在、試験的にゆっくりを通学させデータを集めているところです。 本校もモデル校の一つに選ばれ、まりささんが通う事になりました。」 「人間とゆっくり。新法によってゆっくりも人間とほぼ同等の権利が認められる様になり、 同じ社会で生活する仲間となった訳ですが、見ての通り私達はそもそも体の造りがまるで違います。 彼女が我々と共に生活していく為、我々はどの様な気遣いをするべきでしょうか。 皆さんにはまりささんと一緒に学ぶ中でそれを考えて欲しいと思います。」 「はい。話はここまでです。早速授業を始めましょう。まりささんの席は・・・A君の隣が空いていますね。 ではA君、まりささんの事お願いしますね。まりささん、解らない事があったらなんでもA君に聞いて下さい。」 教師はAの隣の机の上にまりさを降ろし、教壇に戻ると授業を始めた。 まりさはAの方に向き直ると、にっこりと笑い挨拶をする。 「ゆっくりしようね!」 「ウゼェ・・・」 (シカト) 授業が始まる。生徒達が先生の板書をノートに写す。まりさも持参した紙に向って、口に咥えた鉛筆で なにやら不思議な模様を描いている。顔は真剣そのもの。本人は黒板に書かれたものを写しているつもりなのだ。 当然の事ながらゆっくりに人間の中学生相当の授業の内容など理解できる筈も無い。 しかし、それでも問題は無い。ゆっくりの通学の目的は集団生活を学ぶ事だからだ。 皆と同じ教室に通い、皆と机を並べ、勉強の真似事をする。よそ見をしたり、居眠りをしたりなんかはしない。 人間に交じって良く働いている両親に似て、まりさは非常に優秀なゆっくりだった。 まりさの両親は土建屋で働いていた。仕事の内容は野生のゆっくりとの交渉。 ゆっくり保護法が成立したおかげで、野生のゆっくりといえど簡単に殺す事はできなくなった。 道路や建物を建設する予定地にゆっくりの居住区があった場合、以前なら皆殺しにするか力ずくで追い出していた。 しかし新法のせいでそれはできなくなってしまった。そこでまりさの両親、親まりさと親れいむの出番だ。 まりさの両親は予定地に住むゆっくりと立ち退きの交渉をするのだ。 大抵の場合、人間とゆっくりが話すよりゆっくり同士の方が話し合いは上手くいく。 親まりさと親れいむは相手を巧みに丸め込む話術を買われ、会社から大変重宝されていた。 彼女達を雇用するメリットはもう一つあった。ゆっくりには給金を払う必要が無いのだ。 ゆっくりが金銭目的の犯罪に巻き込まれるのを防ぐ為、ゆっくりは通貨の所持を禁じられていた。 そのかわり、ゆっくりは労働の対価として衣食住を雇用主に要求する事ができた。 まりさの一家は両親が働く会社の社長宅の庭、社長が用意してくれた犬小屋に住んでいた。 自分達を襲う野生動物のいない町の暮らし。食べる物も残り物とはいえ人間と同じ。 野生の頃とは比べ物にならない贅沢な生活。まりさの両親は人間に感謝していた。 幼いまりさに対しても人間とうまく生活していける様、熱心に教育してきた。 まりさも人間と上手く共存し、豊かな暮らしを送れる筈だった。 ゆっくりを受け入れてくれる人間となら・・・ 授業が終わり10分間の休み時間となる。生徒達はめいめいトイレに行ったり、友達と話をしたりして過ごす。 まりさも生徒達に話しかけてみる事にした。 「ゆ。なんのおはなしをしているの?」 「・・・」 返事の代わりに返ってきたのは、刺すような冷たい視線。 完全なる拒絶。何で勝手に入ってくるんだとその目が雄弁に語る。 「ゆ・・・ごめんなさい・・・」 まりさがわるかったんだね。きっとだいじなおはなしをしてたんだよ。 まりさはそう理解し別のグループに加わろうとする。 今度は女の子達。どうやら駅前に新しくできたケーキ屋の話をしているらしい。 まりさもケーキは大好きだ。社長さんが呑んで上機嫌で帰って来るとき、お土産でいつも買って来てくれるのだ。 「ゆ!まりさもけーきだいすきなんだよ!いっしょにつれていってね!」 「・・・」 自分達に話しかけてきたまりさを一瞬見た女の子達。 その後小さな声でボソボソと話すと、まりさには目もくれずどこかへ行ってしまった。 「ゆぅ・・・」 どうしてだろう。まりさ、なにかわるいこといったかな。 女の子達の態度にちょっと傷ついたまりさ。 だいじょうぶだよ。そのうちなかよくなって、いっしょにおはなしできるようになるよ。 まりさは次は男の子に話しかけた。二人で昨日のナイターについて話している。 そろそろペナントレースも終盤。今年もウチが貰った、いや今年こそウチが。 自分の好きな球団について楽しそうに話している。 「やきゅうってたのしそうだね!まりさにもおしえてね!」 かなり大きな声で話しかけたつもりだが、まりさの声は完全にスルーされる。 二人はまりさに目もくれない。まりさの存在すら否定する様な態度。 もう一度話かけてみても同じ。一片の注意すらまりさに向けようとはしない。 どうしてむしするの?まりさはみんなとたのしくおはなししたいだけなのに・・・ どうも上手くいかない。皆と仲良くなりたくて積極的に話しかけているが、誰も自分の相手をしてくれない。 まりさは段々悲しくなってきた。 また別の男の子に話かけてみる。椅子に座り窓の外をぼんやり眺めている。 誰とも話していない。それならきっとまりさの相手をしてくれるだろう。まりさはそう考えた。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ん、何?」 応えてくれた!まりさの言葉に応えてくれた! まりさは嬉しくなって、つい大声で話してしまった。 「あのね!あのね!まりさとおはなししよう!!!」 「ああ、別にいいけど・・・」 「おーい!B!ちょっとこっち来いよ!」 まりさの隣の席のAが呼ぶ。友達に呼びかけている、という感じでは無い。 有無を言わせないかの様なAの語気に、Bはすっかり委縮してしまっている。 「え、でも・・・」 「あ゛?でもって何だよ、でもって。いいからこっち来いよ!」 「うん、今行くよ・・・」 「ゆ・・・」 Bの背中を目で追うまりさ。行ってしまった・・・折角お話ができると、仲良くなれると思ったのに・・・ AがBの肩をポンポンと叩きながら何か話している。Bは俯き加減で「ハハハ」と口だけで愛想笑いをしている。 何を話しているのかは分からない。聞き取れた言葉は「良かったな」「今日からあいつが」「解ってるよな?」 結局まりさはこの休み時間中、誰とも話をする事ができなかった。 二時限目、三時限目の後の休み時間も同じ。まりさはクラスの皆に避けられている。 小さな教室。40人の生徒達がおこすガヤガヤとした騒音の中にあって まりさの周りだけが静かだった。まるで見えない壁で世界と隔絶されているかの様に。 初めのうちはそれでも何とか受け入れて貰おうと、生徒達に近寄って行ったまりさだが まりさがぴょこんぴょこんと跳ねて行くと、生徒達はスッと音も無く離れて行ってしまう。 「どうしてかなぁ・・・まりさはみんなとなかよくしたいのに・・・」 そのうちまりさは生徒達に話しかけるのを諦め、机の上で俯きながらじっと次の授業が始まるのを待つ様になった。 皆に避けられている。皆から無視される。理由は解らないが。 周りの悪意が作り出した異質な空間の中で、まりさはひたすら耐え続ける。 (隠す) 四時限目が終わり昼休みの時間となった。生徒達は気の合う仲間同士で集まり、家から持って来た弁当を食べる。 まりさはひとりぼっち。母が持たせてくれたお昼ごはんをむーしゃむーしゃと食べる。 おいしい、おいしいけど・・・。家族みんなで食べた朝ごはんの様な満足感は無い。 まりさは小さく「むーしゃむーしゃ、しあわせー」と呟くと、教室を出て外へ向かった。 きょろきょろと何かを探しながら校庭を跳ねていくまりさ。 やがて校舎の壁と生垣に囲まれた、日当たりの良い芝生を見つけた。 ここなら誰にも見られない。誰にも邪魔されない。ゆっくりするには最適な場所だ。 「ゆ。ここにしよう。ここならゆっくりできそうだよ。ここがまりさのゆっくりぷれいすだよ。」 まりさは人間の生徒達と違い休み時間にトイレに行く必要は無い。 そのかわりまりさはゆっくりぷれいすでゆっくりする必要があった。 しかし10分間の短い休み時間ではそれをする事は叶わず、まりさはずっと我慢していたのだ。 今は長い昼休み。チャイムがなるまで後40分。ゆっくりする時間は十分にある。 まりさは太陽の光をたっぷり浴びながら、目を閉じて頬をだらしなく弛緩させる。 「ゆっくり~♪」 不足していたゆっくり分を補給するまりさ。ゆっくりしていると段々ゆっくり本来の明るさが戻ってきた。 午前中に体験した嫌な記憶、悲しい辛い思いが徐々に薄れていく。 ああ、まりさはいまとてもゆっくりしているよ。しあわせだよ。 ゆっくりがすべてを癒してくれる。十分にゆっくりとしたまりさは元気を取り戻した。 午前中の陰鬱とした気分を振り払い、来たときとは違い軽い足取りで教室に戻るまりさ。 そろそろ五時限目の授業が始まる。まりさは椅子を踏み台にして机の上にぴょんと跳び乗る。 先生が来る前に勉強道具の確認。ノート代わりの紙、紙を押さえる文鎮、消しゴム・・・ 「ゆ!まりさのえんぴつがないよ!」 鉛筆が無くなっている。教室を出る前は確かにあったのに。 まりさの鉛筆。社長さんがまりさの入学祝として用意してくれた。 まりさが使いやすい長さに切って、長時間口に咥えても痛くならない様に 咥える部分にタオルの切れ端を巻いてくれた物。 まりさの大事な大事な鉛筆。まりさの宝物。 床に落ちてしまったのだろうか。そう思い急いで探そうと床に飛び降りた瞬間、チャイムが鳴り教師が教室に入って来る。 授業が始まってしまった。まりさは仕方なく机の上に戻る。 五時限目の授業中、まりさは俯いて解る筈もない教師の話をじっと聞いていた。 授業が終わり休み時間になるとまりさは無くなった鉛筆を探し始めた。 教室中をぴょこぴょこ駆け回り、必死に鉛筆を探す。 立ち話をしている生徒達の足下を、蹴飛ばされそうになりながら跳ねて行く。 しかし見つからない。チャイムが鳴ったので、諦めて机に上ろうと椅子に飛び乗ったその時。 「ゆ!みつけた!」 たまたま視界に入った隣の席の机。机の下の収納スペースにまりさの鉛筆が。 急いで鉛筆を取ろうとするが、運悪くAが自分の席に戻ってきた。 相変わらずまりさと目を合せようとはしない。不機嫌そうな顔で前を見ている。 えーくんのつくえのなかにまりさのえんぴつがあるよ。えんぴつをとってね。 そう言おうとして思いとどまる。そうだ皆はまりさの話を聞いてくれないんだった。 まりさはまたも鉛筆が無いまま授業を受ける事になった。 六時限目の間中、Aの机の中にあった自分の鉛筆について考える。 何でA君の机の中にまりさの鉛筆があったんだろう。落ちていたのを拾ってくれたんだろうか。 でもそれならすぐに鉛筆を渡してくれる筈。しかしそんなそぶりは無い。 まさか盗られた?A君がまりさの鉛筆を盗った? でもどうして?A君も鉛筆は持っている。鉛筆が欲しくて盗んだ訳じゃない。だったらなぜ? ひょっとしてまりさに意地悪する為に?まりさが嫌いだから? それなら納得がいく。A君はまりさが話しかけても返事をしてくれない。 そうか・・・まりさのことがきらいだから・・・まりさにいじわるするために・・・ でもそれならどうやって鉛筆を返してもらおうか。「かえしてね」と言ってもきっと返してはくれないだろう。 まりさは先生に相談する事にした。授業が終わると職員室の担任の元へ向かった。 一日の授業が終わりHRの時間。教師は教室に入るとまりさの鉛筆についての話を始めた。 「皆さんに残念なお話をしなくてはなりません。まりささんの鉛筆が無くなりました。 鉛筆を盗んだ人がいるのです。無くなった鉛筆がどこにあるのかは分かっています。 A君、あなたはまりささんに言わなくてはならない事がありますね?」 「ああ、これの事ですね。」 Aは悪びれた様子も無く、机の中からまりさの鉛筆を取り出して見せる。 教師は予想していた反応と違った事に驚いたのか、一瞬とまどった様な表情を見せたが すぐに元の穏やかな顔に戻り、なぜこんな事をしたのかと聞く。 「先生は今年赴任してきたばかりで知らなかったんですね。まあ、他の先生方も知らないかもしれませんが。 これはウチの学校に伝わる伝統なんです。俺も先輩から聞きました。 ウチの学校では転校生が来るとその人の持ち物を隠すんです。 財布とかじゃなく、鉛筆や消しゴムといった無くなったら困るけど貴重品じゃ無い物を。」 「鉛筆が無くなったら当然探しますよね。それでも見つからない。それで隣の人やクラスの人に聞くわけです。 自分の鉛筆が無くなったがどこかで見なかったか、って。 つまり転校生の子がクラスの皆に話しかけるきっかけにする為にやるんです。 転校生が早くクラスに馴染める様にする為の儀式みたいなもんです。」 「相手がゆっくりでも人間と同じ様にするべきだと思ってやった事なんですが まさかこんな事になるとは思いませんでした。誤解させてしまった事については反省しています。」 生徒達の多くは下を向いて必死に笑いを堪えている。 しかし教師はそれに気付かず、申し訳なさそうな顔でAに謝罪をする。 「そうだったんですか。よく調べもせずにあなたを疑ってしまって。ごめんなさい。」 「いえ、先生は悪く無いですよ。この手の事は先生に知られない様、仲間内だけでやるものですから。」 HRが終わり教師が教室を後にする。 意地悪する為じゃなかったんだ。鉛筆を盗んだんじゃなかったんだ。 まりさは嬉しくなって隣のAに話しかける。 「ごめんなさい!まりさ、ごかいしてたよ!まりさのためにやってくれたことだったんだね!」 「お前、面白い奴だな。」 「ゆ?」 面白い、と言ってはいるがAの顔は笑っていない。 「まりさ、おもしろい?おもしろいっていわれるのははじめてだよ。」 「勘違いすんじゃねーよ。あんま調子こいてんじゃねーって言ってんだよ。」 「ゆ・・・」 今までとは違う表情。不機嫌を通り越して明らかに怒っている。 まりさには理由が解らない。この人は「面白い」と言ったのになぜ怒っているのだろう。 「先公にチクるとか、随分なめた事してくれんじゃねーか。」 先公にチクる?そういえばクラスの人達は、先生がいない所では先生の事を「先公」と呼んでいた。 先生に話す事を「先公にチクる」と言うのだろうか。何で先生に話してはいけないのだろう。 「ところでお前、山と川、どっちが好きだ?」 「ゆ。まりさはあまりとおくにいったことがないの。どっちもいったことがないよ。」 「お前の事情なんて知らねーよ。どっちがいいか決めておけ。 山に埋められるのがいいか、川に流されるのがいいか。次にチクったら殺すからな。」 「!」 「糞饅頭が、人間と同等とか調子に乗りやがって。最近は糞饅頭が殺されても警察が動くもんな。 だから殺されたりする事はねーと余裕ぶっこいてんだろ。 そりゃあ何十匹もいる群れがいきなり消えたら、誰かおかしいと気付いて通報するかもしれないがな。 お前一匹消えたところで気にするのは家族ぐらいのもんだ。」 「まして死体があがらないんじゃ、警察が本気で調べる訳もねえ。 ただの行方不明だ。糞饅頭が一匹消えるなんて珍しい事でもねえ。誰も探したりなんかしねーよ。 お前、年間何匹の糞饅頭が消えて失踪扱いになってるか知ってるか? お前みてーな糞饅頭一匹消すのなんて簡単なんだよ。」 「いいか?もう一回言うぞ。次、先公にチクったら殺すからな。 マジで殺すからな。解ったな?」 「ゅぅ・・・」 後編?へ
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つるべおとし 6KB 小ネタ 飾り ゲス 希少種 現代 独自設定 シリーズものなんてなかった ・9回目 ・希少種 ・またぼくのかんがえたかわいいおれのよめゆっくり。的なのになってしまいました・・・すみません。 ・虐めません。 ・ていうかSSじゃない。 ・ヨロシクオネガイシマス 日曜日。 木々の側にあるベンチに座っている私は、日頃のデスクワークとは無縁な、広大な自然に囲まれている。 といっても、ただの森林公園なんだけどね。 都市部から離れた片田舎というより半都会というべき、微妙な地域の。 私が生まれてからずっと住んでいる場所であり、交通の便は何の問題もないからこれからも住むと思う。 普段、パソコンと顔突き合わせて見えない人間と取引をして空気が篭った部屋で淡々と仕事をこなす。 そんな生き方をしてしまっている私でも、その一部として受け入れてくれる。 自然は良いね。 そんな自然が大好きだよ。 そよぐ風。照る太陽。さざめく木々。囀る鳥。スポーツに精を出す人達の活気。みんな生きることを楽しそうにしている。 木桶に入ってる生首だって。 ・・・なまくび?。 視界の隅に何かがいた気はする。 ふと私の左側、ベンチの上を見ると、水色の短いツインテールの生首がニコリと笑っていた。 驚いて反射的に右側に寄って離れてしまう。 その生首はニコニコした表情で、木桶の中からまだこっちを見ている。 よく見ればカワイイ、その顔を思い出した。 生首じゃなくて、これはゆっくりだ。しかも割りと珍しいきすめというゆっくり。 昔、ゆっくりが好きな弟がゆっくりの図鑑を見てこのゆっくりが欲しい欲しいと母にねだっていた。もちろん却下だよ。 きすめはしばらく私の方を見ていたけど、突然木桶に目線を伏せてしまった。 まるで何かから隠れるように。 「ゆぅ? にんげんさんがれいむたちのゆっくりプレイスをひとりじめしてるよ!」 「みょん」 「きりすてごめんなんだねーわかるよー」 「いなかもののにんげんさんははやくどいてよね!」 きすめとはまた違う。 というか、無駄によく見かけるゆっくりが後ろから四つ来た。 露骨に顔をしかめてうざったい顔で因縁つけるようなれいむ。 なんかよくわからない白玉が周りを回っている愚直バカようむ。 ようむの通訳みたいなことをしている知ったかぶりのちぇん。 作ったようなツンデレが実にムカつくぶりっこありす。 善良なゆっくりには優しく、不良ゆっくりに対して厳しいこの街では、増長するようなゆっくりは何年も前から駆除されているはず。 だけど、やっぱり全体で半分以上を占める不良ゆっくりを全滅させるのは難しいみたい。 それにしても酷い話だよね。 公共物であるベンチを自分達がゆっくりするためだけに占領しようとするなんて。譲り合いの精神どこ行った。 人間でもそういう人がいるから、ああ嫌だ嫌だ。 そういうのがいるから、世の中悪い方へ転がっていくんだよ。 ああ、久しぶりに不良ゆっくり虐待の血が騒いで来た。言葉攻めのぬる虐めから、不良親子虐待。 はては学生の頃には、北海道まで遠征してドゲスゆっくりを狩ってたりしてたなぁ。 ああ、懐かしい懐かしい。・・・いや、私まだ20代だけどね。まだ後半戦の20代だけどね! 昔に思いを馳せていると、ゆっくりどもが嘲笑しはじめる。 「ばばあはゆっくりせずにれいむたちのゆっくりプレイスからでていってね!! ゆっくりしてるから、ばばあなんだよ」 「みょん」 「こじわなんだねーわかるよー」 「おばさんはいなかものなのね。ゆふふ」 年増と申したか。OK。望みどおり殺して解して並べて揃えて晒してやんよ・・・・。 まずはこいつらの髪飾りを奪ってやろうとベンチから立ち上がりかけると、さっきまで木桶に隠れていたきすめが木桶ごとジャンプして前に躍り出た。 ・・・どう動いてんだろう。スィーみたいなもんかな? きすめを見たれいむ達は、揃えて首をかしげる。 面識がないのか。見たことないのか。 よく分からないというような顔をしているゆっくりどもを気にせず、きすめは木桶からひょっこり顔を出して、 「ぼむふぁいあ!」 口から白ワインのような液体が吹き出てれいむ達の飾りにふりかかったかと思うと、その表面から青白い炎が溢れ出した。 当然、れいむたちの飾りは焼け焦げて灰に。 「ゆぎゅいいぃいぃぃぁあああ!!!」 「みょみょみょみょみょ」 「はんりょうがががっていってるんだねーわからない! ちぇんにはなんにもわからないようううぅぅ!?」 「ありずのどがいはなかみのげざんがああぁぁまりさのぎらわれるうぅぅぅ」 結局、飾りごと髪の毛までやけて綺麗に饅頭のように、醜く禿げた。 あ。ありすは、カチューシャだから焼けないのね。なるほど。 ギャーギャー泣いてるゆっくり達に間髪入れずにきすめは木桶ごとジャンプして、真上へ。 「うえからくるよ! きをつけて!」 気をつけてとか言う割りには瀕死のゆっくり達には避けようもない速度で、木桶がれいむの脳天へ。 断末魔の叫びをあげることもなく、れいむは粉砕された。 そこからホップステップジャンプの要領でようむ、みょん、ありすも圧殺。 木桶がベンチに着地した頃には土の上には、粗末にした甘味の花が咲いていた。まぁ、要するにれいむ達を殺っちゃったよこの子。 今までの行動をなんとなく見てた私に対して、きすめはまたさっきのようにニコリと笑う。 ・・・。 少し見つめあった後、試しに言ってみる。 「ゆっくりしていってね」 「せっかくだからゆっくりしていってね!!!」 いろいろきすめと語りあったけど、日も暮れてしまったから今日は帰ることにする。 ん? 本当は森林散策するつもりだったんだけどねぇ・・・。まぁ、良いか。 きすめはどこに住んでいるのかと聞くと、ベンチのすぐ隣の木の上だという。 眺めていると、葉っぱの間からちんまい焦げ茶のリボンをつけたゆっくりが出てきた。 そのゆっくりは、口から糸を吐き出してきすめの桶の中に当てるとそうめんを啜るようにして、きすめを桶ごとひっぱりあげて木の中へ消えてしまった。 きすめの安心しきってた顔を見る限り、恋人か何からしい。うらやましいね。 また来週来る事も決めたし。明日から一週間仕事頑張ろうかな。 そう思いながら家路に着いたなかなか有意義な休日でした。まる。 アトガキ ヤマメとキスメの関係が実はよく分かりません。1面の中ボスとボス? ということでさっと書いてみました。きすめ。 軽いスペックをば。 ・木桶が飾り ・やまめとよく番になる。 ・ぼむふぁいあ!とか言いながら、可燃性の液体を出す。火がつく理由は良く分かりません。 ・木桶はスィーと同じで、思い込み力で動く。 ・中身はウイスキーボンボンだと思いたい。 やまめは個人的に生キャラメルだと思ってます。で、糸は綿飴。でも、生きている間は糸は蜘蛛の糸。 俺設定で、ゆっくりを構成するものはゆっくりが生きている時点では甘い物じゃなくてそれそのもの。 要するに、ゆっくりが生きてれば髪は髪で飾りは飾り。です。あ、でも贓物はご都合主義で餡子でお願いします。 思い込み力は大統力と思えば万事、解決。 きすめの掛け声は分かる人には分かります。多分。キスメの元ネタの釣瓶落としググッたらこれしかない! と思いました。 もう、小ネタ作家になれるように頑張るとやまめに誓います。はい。 ご読了ありがとうございました。 【妄想で書いたもの】 かり ・ふたば系ゆっくりいじめ 963 ト● ・ふたば系ゆっくりいじめ 990 くちばしにチェリー ・ふたば系ゆっくりいじめ 1000 デスクトップガジェット ・ふたば系ゆっくりいじめ 1018 ゆっくりつくーる ・ふたば系ゆっくりいじめ 1054 夢想天生 ・ふたば系ゆっくりいじめ 1064 スペクタクルスパイダーウーマン ・ふたば系ゆっくりいじめ 1091 つるべおとし どろわ ・つんつんつんつくつんつくつんつん ぬえ ・山女って可愛いよね トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 零崎ネタがww -- 2013-10-23 21 56 05 越前w -- 2011-10-15 16 09 19 キスメちゃんいいこいいこ -- 2010-12-16 18 28 40